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キャリーのCinemanのレビュー・感想・評価

キャリー(1976年製作の映画)
4.0
『キャリー』
ブライアン・デ・パルマ監督
1976年公開アメリカ
鑑賞日:2023.02.01 U-next

【Story】
気立てが優しく地味でおとなしい女子高生キャリー(シシー・スペイセク)は毎日学校内で激しいいじめを受けています。
いじめに加担していることを恥じたスー(エイミー・アーヴィング)は罪滅ぼしのため卒業祝いのダンス・パーティーにキャリーを誘ってもらいたいとクラス一のイケメンで彼女のボーイフレンドのトミー(ウィリアム・カット)にお願いします。
スーとカップルでパーティーに出ることを楽しみにしていたトミーもスーの真剣さに折れてキャリーをパーティに誘います。

パーティへの参加など考えてもいなかった内気なキャリーはトミーの申し出を最初は断りますがトミーの情熱に負け彼とカップルでパーティーへ参加することをOKします。

キャリーがパーティーへの参加を断っていたのは狂信的なクリスチャンである母親(パイパー・ローリー)にパーティーに参加することを言い出せなかったからです。
キャリーの母親は世の中の悪の根源である男たちにキャリーが汚されないように自分が守らなければという使命感でいっぱいです。それには深い理由があるのですが。

パーティの当日キャリーを押しとどめる母親を「絶対にパーティーに行くわ」とキャリーは宣言して壁に押し倒します。
キャリー本人も最近気がついたのですが彼女は強力なエネルギーを持つ超能力者だったのです。
母親を壁に釘付けすることなどキャリーにとって簡単なことです。
たんねんに縫い上げた美しいドレスに身を包み、生まれて初めて口紅を塗ったキャリーはもじもじしながら迎えに来たトミーの車に乗ります。

卒業生をおくるダンス・パーティー会場に着いて急に怖気づいたキャリーの腕を自分の腕にからませて優しくリードして堂々と会場に入るトミー。
思いもかけないカップルの入場に会場がどよめきます。

あ!キャリーが来たわよ。
なんであのキャリーがイケメンのトミーと・・・
なんかの間違いじゃないの?
これって冗談でしょ。
でも今日のキャリーちょっと素敵じゃない?

パーティーの最後には恒例の「本日のベスト・カップル賞」の投票があります。


【Trivia & Topics】
*原作について。
原作はモダン・ホラーの巨匠スティーヴン・キングのデビュー長編です。
それまでの怪奇小説はおどろおどろしい設定の中で語られていましたがキングは平凡な日常が変容した先に恐ろしい展開が待ち受けているというスタイルを開拓し、それはモダン・ホラーと名付けられました。
ヒッチコックの語り口と似ていますね。

*ゴミ箱から生まれたベスト・セラー。
これは伝説的なエピソードです。
「キャリー」の初稿を3ページまで書いたのですがキングは気に入らず原稿をゴミ箱に捨てました。
ゴミ箱に捨てられた原稿を見つけたタビサ夫人が拾って読み、これは面白いから完成させたらとキングを励ましました。

1973年米国の大手出版社ダブルデイはハードカバーの契約金としてキングに2,500ドルを支払いました。
そのお金でキングは引っ越すことが出来ました。

*モダン・ホラーの金字塔「シャイニング」。
1974年に「キャリー」のハードカバー出版。その後映画化されて大ヒット。そのおかげでキングはメイン州を離れコロラド州ボルダーに一年弱移り住みます。
そして「シャイニング」が生まれました。

*その後のキャリー。
・1989年続編『キャリー2』公開。
エイミー・アーヴィングが本作と同じスー役で出演しています。未見です。

・2013年リメイク版『キャリー』公開。
主演がお気に入りのクロエ・グレース・モレッツなので観ましたが残念ながら不発でした。
何よりも不満なのはキャリー役がモレッツでは美しすぎる、華やかすぎるんです。いじめられっ子のリアリティがない。
もっともモレッツが大好きなので彼女だけを見て幸せな時間ではありましたが。

*受賞歴
・1977年アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭グランプリ受賞。

・シシー・スペイセクとパイパー・ローリーはアカデミー賞にノミネートされました。

パイパー・ローリーは1961年の『ハスラー』でアカデミー主演女優賞にノミネートされました。その後一時期引退していましたが『キャリー』でカムバックし再び助演女優賞にノミネートされました。

【5 star rating】
☆☆☆☆
(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:見事な作品
☆☆☆☆ :面白い作品
☆☆☆  :平凡な作品
☆☆   :残念な作品
☆    :退屈な作品
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