「妙なヤツだ」
「この顔で何か売るとは大した奴だ」
このセリフから物語は始まる。またチャップリンの楽しいコメディが始まると思っていた。しかし他作品とは毛色が違う。
男のモデルは実在した犯罪者。オーソン・ウェルズが原案でチャップリンが映画化。
男は恐慌で職を失う。その果て今ある家族を守るため、重婚を繰り返し、時には相手を殺害し金を手に入れていく。
罪悪感はなく、彼が言うようにまるでビジネスのように詐欺と殺害の段取りをつけていく。
しかし罪悪感はほんの小さな出会いから始まる。そして極刑へ。
元々知能指数が高い男である。断罪の場に向かいすべてを悟ったのか弁舌はさらにさえる。
激動の時代、殺人のアマチュアは守るものも失い、再会を予言し去っていく。