KnightsofOdessa

僕の村は戦場だったのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

僕の村は戦場だった(1962年製作の映画)
3.5
[タルコフスキー版『送られなかった手紙』?] 70点

いい加減タルコフスキーくらい全部観よう企画。冒頭からカラトーゾフみたいな空撮とクローズアップが登場するが、続くシーンでは浅い湖に生えたひょろ長い木々の間を閃光弾が沈むというエレメンタルなタルコフスキー空間になっていて、過渡期だなあと。指に当たる水滴→井戸の連想では、井戸を下から見上げるという中々お目にかかれない連想を観ることができる。ユーリ・イリェンコ『A Spring for the Thirsty』で、井戸を横向きにして歩いてたシーンを思い出した(奇しくも彼はウクライナのタルコフスキーと一部で呼ばれている)。東欧映画御用達の白樺林も登場し、あの有名な堀の中から仰ぎ見るキスショットも拝めたのだが、"あれ主人公ってこんなデカかったっけ?"と思ったのは正しく、主人公と全然関係ないシーンだったのには笑った。イワンの回想シーンで、少女とともに果実を積んだトラックの荷台に乗って、そのトラックが浜辺で果実をこぼして馬がそれを食べるというものがあり、タルコフスキーが好きだったというドヴジェンコっぽさを感じた。後の自然礼賛としてのエレメンタルな映像に繋がる萌芽か。終盤の白樺林夜間歩行シーンは、完全にタルコフスキー版『送られなかった手紙』だった。思えば看護中尉ちゃんもタチアナ・サモイロワに似てる気がするし…?確かに点として観ると美しいシーンも多くある(白樺林に激弱というのもある)が、冗長な部分も結構あり、後の作品群を思うと微妙な評価を下さざるを得ない。
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