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大怪獣決闘 ガメラ対バルゴンの教授のレビュー・感想・評価

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人生には色んなことが起こるので、映画など観ていられないことがあったりもするのだが、それでも映画を観ることで自分を豊かにできるのかを頭の片隅にて考えながらのレビュー。
本編とはまるで関係ないことだが。

で、本作。
まず特撮シーンは見事。

ガメラの造形も、敵怪獣であるバルゴンの造形も見事。恐らくは「シン・ゴジラ」にて登場したゴジラ第二形態「蒲田くん」は、恐らくそのバルゴンが下敷きにあると思われる。
その四白眼的な眼光の不気味さと虚無性と、意外にも南洋出身ながら攻撃力の高い冷凍液を吐き、背ビレからは虹色の破壊光線を照射する。なんとなく可愛げな見た目からは想像もつかない高いスペックを持っている。

予算をかけ過ぎた、と言われる特撮シーンと、大映映画の醍醐味である画面作りの豊かさは「ゴジラ」シリーズよりも完成度が高いと思う。
というよりも比較してみると、市井の被害に関する描写がどことなくリアリズム寄りで、悲劇性が高いのが特徴とも言える。

作劇としてもハードでバルゴンの卵を「オパール」と勘違いして結果的に3人を殺害、主人公である平田(本郷功次郎)を殺害しかけるという拝金主義者である悪役の小野寺(藤山浩二)のグロテスクさはなかなかの凄みがある。

一方でバルゴン掃討に対する作戦のチープさ。また主人公たち周辺で起きている情報が完全にイリーガルな問題も割と不問なまま、その反社的な行動はスルーされつつ作戦本部に勝手気ままに行き来していたり、その科学的根拠のいい加減さも酷い。
客船から孵化して巨大化したバルゴンが、いきなり「水に弱い」という弱点も首を捻ってしまう設定だし、それなら単に放水すればいいものを「人工雨」を降らせるという現代でも有効性が薄いテクノロジーを発揮するなどモヤモヤする展開が多い。
そこでバルゴンが比較的顕著に弱体化しているのも悩ましい。

何よりガメラが初戦は派手に敗退し、終盤までほとんど出てこない。加えて対決の理由も不鮮明。冷凍されて活動停止していたものの氷で解けたので復活という流れも中々飲み込みづらい。

面白かったのだけど、シリーズ特有のなんだか幼稚な終盤の展開は頭を抱えてしまった。
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