ボブおじさん

ラスベガスをぶっつぶせのボブおじさんのレビュー・感想・評価

ラスベガスをぶっつぶせ(2008年製作の映画)
3.9
〝カードカウンティング〟というカードゲームのテクニックを使い、マサチューセッツ工科大学生のチームがカジノから大金を巻き上げた実話に基づく映画。この映画が面白いのは、以下の2点によるところが大きいのではないか?

1つ目は〝カードカウンティング〟で荒稼ぎする学生チームとカジノの強面セキュリティチームのスリリングな攻防が一種の〝クライムサスペンス〟となっていること。

厳密には〝カードカウンティング〟は、カードを記憶する特殊技術なので、犯罪でもイカサマでもないのだが、カジノ側からすれば、想定外の〝招かれざる客〟としてお引き取り願う(出禁にする)ことはできる。従って何としても個人を特定して二度と来られないようにしたいのだ。

2つ目は、主人公のキャンベルが、他人とは違う高度な記憶力と計算能力を有していること。つまり皆んなが大好きな〝天才的な特殊能力〟を描いた作品であること。

〝カードカウンティング〟の技術を使ってカジノで大儲けする話といえば、トム・クルーズとダスティン・ホフマン主演の「レインマン」が有名で、本作でもそのくだりが出てくるシーンがあるが、いずれにしても〝天才的な特殊能力〟が観る者の興味を引くのだ。

実際にあった話をもとに作られた映画だが、〝ラスベガス〟という夢にあふれた虚構の世界(非日常)と〝ロボット大会〟という地に足のついた現実の世界(日常)を対比させながら話は進んでいく。

映画では、学生を取りまとめる教授(ケビン・スペイシー)をある種の悪役として登場させるが、この演出が良かったどうかは疑問が残る。

映画の中でも語られている通り、彼らがやっていることは違法でもイカサマでもなく、あくまでも合法的な組織プレイだ。原作にある通り頭のいい学生が自分たちの能力を活かしてカジノにひと泡吹かせる痛快なサクセスストーリーに徹してもよかったような気がした。

原作タイトルは「Bringing Down The House」で〝カジノをぶっ倒せ〟という意味。5年間逃げ切りながら約6億円を荒稼ぎした理系オタク集団の真実でも十分面白かったと思うのだが😅


〈余談ですが〉
カードカウンティングとは?

ブラックジャックやポーカーなどで行われる手法で、場に出たカードをすべて記憶し、まだ配られていないカードを予測する行為のこと。予測ができればその後のゲーム展開の有利不利がわかり、大金を賭けるべきタイミングが読める。

個人の技術であるため罪に問われることはないが、この技術を効率よく使うとカジノ側に大きな損害を与えかねないため、カジノはカード・カウンティングを行っているプレイヤーに対して、プレイの禁止や入店禁止にすることも出来る。

トム・クルーズとダスティン・ホフマンが主演した「レインマン」やポール・シュレイダー監督でオスカー・アイザックが主演した、その名も「カード・カウンター」などでも出てくる特殊技術だ。

前者の主人公は、先天的な才能であるのに対して後者の主人公は、刑務所の中での訓練によりその技術を後天的に身につける。

本作の主人公は、その中間で天性の記憶力と計算力を活かしてカウンティング技術を訓練によって身につける。驚くべきはそのスピードの速さで、計算しているとは誰にも気づかせない。そして怪しいと思われる前に切り上げて行くのだ。

彼らの活躍(暗躍?)によってカジノ側は対策を立て、今ではラスベガスではカードカウンティングの技術は、通用しなくなっている😅