こたつむり

WEEKEND BLUES ウィークエンド・ブルースのこたつむりのレビュー・感想・評価

3.5
♪ もっと 愛しさ わかりたかった
  君はずっと遠くの 大切な忘れものみたい

面白い映画に必要なのは予算ではないっ!
と言ったところで、それは理想論。
やはり、先立つものがあれば喜ばしいことなのです。でも、無ければ無いなりに工夫することも可能。それを教えてくれる作品でした。

何しろ、内田けんじ監督の自主製作。
話によると友人たちと作りあげたそうです。だから、物語の隅々から“生活臭”が漂っているのですね。ポスターを剥がした跡とか、大手の映画では味わえないリアリティでした。

余談ですが、バンドマンの家を借りたのでしょう。部屋の片隅にギターがありましたからね。そう考えると、剥がしたポスターは洋楽のアーティストだったのかも(なんて推理も面白いですね)。

また、主人公と監督さん(本作では自ら出演)の距離感も微笑ましい限り。掛け合いが完全に“リアルな友人”でした。

それは、自分の学生時代を振り返りたくなるほど。やはり、社会人になったら“気の置けない関係”は簡単に作れないですからね。打算のない間柄って本当に貴重です。

まあ、そんなわけで。
生温かい眼で捉えるべき作品。
ツッコミどころはたくさんありますが…(何故に彼はローラースケートを履いているのか、とか。何故に彼はサングラス姿なのか、とか。何故に売れっ子プログラマーに見えないのか、とか…って全部同じ人へのツッコミだ!)。

そんな細かいことを言ったら映画は楽しめません。映画を楽しむために重要なのは、観客自身の心の置き場所。度量が大きい人ほど、たくさん楽しめるのです(だから、厳しいことばかり書く僕は…ぐぬぬぬ)。

それに、着目すべきは内田けんじ監督の原点という部分。大手制作の映画と比較せずに鑑賞することが肝要です。登場人物の一人が、息子の友達のお父さんに似ている…なんてことを気にする人にはおススメできません(僕のことです)。

でも、やっぱり気になるのは…。
何故にローラースケートを履いていたのか、ってこと。光ゲンジを意識したのかなあ…。
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