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春の夢のnagashingのレビュー・感想・評価

春の夢(1960年製作の映画)
3.5
製薬会社を経営する変人一族の豪邸内におけるゴタゴタ。いろいろとカオスで気が狂っている。会社・家庭の内外でさまざまな問題が勃発し、それによってさまざまな人物が邸内のさまざまな扉から次々と出はいりして交錯するのが楽しい。根底には『ロミオとジュリエット』的なはかなさとロマンチシズムがあるようで、人工的な赤い照明やタイトルの情緒的なイメージはそちらをきわだたせている。東山千栄子に寄るラストカットが、どうしてか手持ちっぽいブレかたをしておりたいへんエモかった。
MVPは圧倒的にイカれてる川津祐介。ちらっと出てきてひと言つぶやくだけで笑える。家の外で赤旗かかげて行進するデモ隊に、「これもまんなかは赤だ!」ってさけびながらあろうことか日章旗ふりまわして突入していく最後には大爆笑。あいつ生きて帰ってこられるのかな……。
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