いつか観なくてはと思っていたネオリアリズモの傑作。画質も悪いし、雑なところもあるのだけど、そこに緊迫感を感じました。
同盟国だったドイツ軍に制圧されたイタリア。ゲシュタポに追われるレジスタンスの指導者と彼を手助けする牧師たちを描く。
↓以下、ネタバレ含みます。
カトリックの国で神父がゲシュタポの手によって撃たれる衝撃。神父という存在を絡めたことでドラマに深みを増している。
ロッセリーニ監督は、ドイツ軍がローマを占領している最中に撮影したそうで、監督の伝えたい思いとリアリティのある映像、熱量に圧倒されました。
製作の経緯とエピソードはWikipediaにいろいろ載っています。フェリーニも脚本と助監督に携わっているとのこと。主要な数人のみが役者で、後は一般市民というのも現実味を増しています。
ドイツ軍将校のセリフが印象深かった。
「この戦争は必然的に憎悪を産む
俺たちが憎悪の的になる
憎悪に囲まれて希望はない
絶望の中で死ぬのだ」
何のための拷問か、誰のための銃殺か、ドイツ軍でさえその意味をわからなかったのだと思う。それは今のロシア軍にも通じる。
殺伐としたローマの街、ドイツ軍少佐と愛人の冷徹さ、アンナ・マニャーニのジャケ写のシーン、口笛の演出、神父の最後の言葉…どれも印象に残ります。
女性たちと子供たちが皆たくましく、そこに希望を感じました。