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GOOD-BYEの一のレビュー・感想・評価

GOOD-BYE(1971年製作の映画)
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最高。興奮が冷めない。むささび童子演じる失語症の青年がラーメン屋(店主は佐藤重臣!)へ向かうが上手く注文ができない、というのをループする序盤からすでに楽しいけど、その3度目、途中すれ違う松井康子についていくと砂丘で犯され、監督言うには「子宮に呑み込まれ、その羊水の海を渡って」パッと空間が移動する。彼が着いた海の向こうに見える難破船がすごい。以後、画期的な韓国ロケが始まるのだが、青年がバスの中で唐突に「ねえねえ金井さん」とカメラへ話しかけると、監督の金井勝本人がいきなり映画の中に現れる。金井が回す16mmカメラの映像と二人を捉える神の視点(序盤に登場する飴屋が撮っているという設定らしい)が組合わさり、フェイク・ドキュメンタリーとメタフィクションがない混ぜの、金井の父を探す話にシフトしていく。支離滅裂で予測不能。青年が「今までの映画はどうなるんですか!主役があなたに移ったようですね!」と憤るのも無理はない。主役を引き受けた金井さんは、サングラスをかけた怪しい男(山崎佑次)にレイプされたり全裸で町中を走ったり体張ってます。ラスト、釜山の龍頭山公園にある李舜臣の銅像の前でファイティングポーズとって雄叫びをあげるゴス風メイク&マントのむささび童子、いつの間に坊主頭の金井勝、ふんどし姿の山崎佑次のスリーショットまったく意味わからないけど泣いちゃうくらいかっこいい。素晴らしすぎる。何度でも観たい。
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