映画おじいさん

裏切りの暗黒街の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

裏切りの暗黒街(1968年製作の映画)
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父違いの弟ケンサンダースの不始末を謝りに来た香山美子に「おまえにはクロンボと寝なければならなかった(おまえの)母親の気持ちなんか分かるまい」みたいなワケの分からないことを言ってレイプする鶴田浩二が、まずはキチガイ。

いくらアンチヒーローものとはいえ、主人公がレイプするなんて狂っている。というか、60〜80年代の日本映画では珍しくない。海外の作品ではそんな主人公見た記憶がないから、当時の日本の倫理観はどこまでおかしなことになっていたのでしょう(今も?)。

おまけにレイプされた香山美子が鶴田浩二にホレてしまうのには呆れて言葉がでない。本作品には女性スタッフはいなかったのか?! 真面目な女性役だと思うけど、そのせいと、ミッキー安川のアシスタントという職業のせいで、最後には実はチャラくて頭の悪い人にしか見えなくなった。

ケンサンダースを出して人種差別問題に触れるのは当時としては新しいのかなとも思ったけど、鶴田浩二にやはり最後の最後まで「外国人のでるところじゃねぇ」とか言われたりするから、何を伝えたいのかよく分からない。

一番怪しそうな即金で金を欲しがる仲間が、耳の聞こえない弟を可愛がる優しい兄キャラというのも何だかんだ上手く描けてなかった。

明らかに本作唯一の任侠キャラで、弟分の仇打ちに飛び込む水島道太郎が一番カッコいい。

強盗団が大金強奪、ほとぼりが冷めるまで数年寝かす、その間にイザコザが起きる、というのは海外の有名映画にありませんでしたっけ? こういう話は大好き。

こうして書くと色んなカタチの兄弟を描いた映画だったのが分かった。結局最後は、鶴田浩二と、かつて裏切った兄弟分・渡辺文雄の果たしはいになったし。