うえびん

時をかける少女のうえびんのレビュー・感想・評価

時をかける少女(1983年製作の映画)
3.4
タイムリープもの
大林宣彦の世界観
ブレンディ女優
それぞれのルーツ

1983年 大林宣彦監督作品

40年前の作品。当時、小学生だったので作品は観なかったけど、原田知世の歌うテーマ曲はよく耳にした。薬師丸ひろ子の『セーラー服と機関銃』とともに。二人のメディアへの露出がかなり多かった印象が残ってる。

作品の旧さが、尾道の旧い街並みと合わせて強くノスタルジーを感じさせられた。尾道は1997年に会社の研修で2ヶ月ほど過ごしたことがある。坂の多い街だったことは思い出せるけど、作品から滲み出る味わい深さは当時は感じられなかった。若かったからかな。『崖の上のポニョ』の舞台設定に使われた隣町の鞆の浦の方が強く印象に残っている。

物語は、時を自在に超える能力を身につけた中学3年生の少女の日常に巻き起こる出来事のあれこれ。前半はなかなかドラマが展開せず、何を見せられているんだろう?と思いながら、原田知世の初々しさと独特な衣装(赤いカーディガンに赤い鼻緒の下駄)と尾道の景色だけは楽しめた。中盤のヘンテコな合成映像からドラマは急展開。そこからはまぁまぁ面白かった。

今も変わらない学校の理科の実験室、今は無くなってしまった土曜日の半日授業。自身の小中学生時代を思い出して懐かしかった。

大人になってから元教師の方たちと話したら、土曜日の半日授業は教員たちにとっても貴重で楽しい時間だったと聞いて意外だったことを思い出した。平日は、なかなか教員同士で話し合う時間が無いんだけれど、時間を気にせずに子どもたちのことや雑談を交わせたんだそう。週休一日だから、休みが少ないと感じていたわけじゃなくて、学校も社会全体も、今よりもっと時間的な余裕があった気がする。

ブレンディのCMをずっと変わらない雰囲気で続けていたり、フランス語で『TEN VA PAS』を歌ったり、独特の雰囲気をまとう原田知世。そのルーツに大林宣彦ワールドがあることを知った。本作は冒頭で出演者の名前が出てきたので、何でエンドロールじやないんだろう?と疑問に感じていたところ、最後はまさに大林宣彦✕原田知世ワールド全開の終わり方でした。
うえびん

うえびん