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ウィンブルドンのtakのレビュー・感想・評価

ウィンブルドン(2004年製作の映画)
3.3
ワーキング・タイトル製作の映画たちは僕らに元気をくれる。「ノッティング・ヒルの恋人」しかり「ブリジット・ジョーンズの日記」しかり「アバウト・ア・ボーイ」しかり。

ポール・ベタニー演ずる主人公ピーター・コルトはかつて世界ランク11位だった30代のテニス・プレイヤー。今では引退の時期を迎えている。引退試合と決めて臨んだウィンブルドンで、彼はアメリカからやってきたリジーと出会う。最初はお互いお楽しみであったのが、お互いにとって大切な時間となり、大切な人となっていく。夜のテニスコートで彗星を見上げてのキスシーンには、こっちまで胸がときめいてしまう。

ピーターはリジーのお陰で順調に勝ち上がる。男って実に単純な生き物だ。女の子なしには活躍することもできない。一方で父親の厳しい指導下にあったリジーは、気持ちの乱れから負けてしまうことに。ピーターを攻めるリジー。ピーターは大事な試合の前にカメラの前で心情を告白する。そしてピーターはセンターコートへと向かう。

テニスを題材にしながらも全然スポ根的精神論を強要せず、ロマコメ路線を突き進み、最後は試合の興奮と恋愛成就の喜びが一体となる大団円。これぞエンターテイメントだ。僕は映画館の片隅で小さく拍手した。そりゃ確かに一般人とは違う世界のお話かもしれない。パパラッチから逃げ回る恋に感情移入できない人もあるかもしれない。そこをうまーくカヴァーしているのが、キャスティングと脇役のキャラクター。ポール・ベタニーの誠実そうなイメージが、テニス選手も人の子じゃないかと納得させてくれる。これが同じ英国俳優でもジュード・ロウやクリスチャン・ベール、ルパート・エベレットだったらきっとこうは上手くいかなかった。

またピーターの家族の人間くささ。テニス選手の家族というと、ハイソなイメージを持ちがちだが、これが何とも庶民的で素敵なのだ。限られた選手しかプレーできないセンターコートにイギリス人が勝ち進んだことを素直に応援する人々の姿も、最後には理解を示すサム・ニールも、とても温かい気持ちにさせてくれるシチュエーションが「ノッティング・ヒルの恋人」に似ているって?。細かいことはいわないで楽しもう。きっとハッピーな気持ちにさせてくれて、日常を忘れさせてくれるはずだ。
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