mh

斬殺せよ 切なきもの、それは愛のmhのレビュー・感想・評価

5.0
フィルマークスの評価2.8(2020/10/08現在)だし、若山富三郎の後期の作品だし、微妙なヤツなんだろうなぁ。ジャケもなんかいまいちだしとか思いながら再生ボタンを押す。

とある女郎の半生を軸にして、226事件と、とある侠客(若山富三郎)の生き様死に様を描いてる。
全編を通じて農村の貧困が大きなテーマになってる。
風呂敷が大きいだけに、任侠パートがあっさりしてる。無駄がないぶん余計にかっこいい。時の人だったビートたけしも、でしゃばらない脇役で気が利いてる。
語ることが多いので、娼妓たちの自由廃業運動(通称「ジハイ」)は「吉原炎上」みたいにスルーすんのかと思ったらちゃんと触れてた。大学生が娼妓に吹き込むあたりもリアリティある。「憲兵の次は特高か」などのセリフも目新しい。考証しっかりしてるしシナリオうまい。
中庭のある楼閣だったり、雨上がりの店先には水溜りができてて、下駄や草履の通行人はそれを避けながら歩いてるとか、細部に凝ってる。なおかつ強調しないのも素晴らしい。
妹を苦海に沈めたことを悔やんでいるという動機付けが良かった。
そんなお年を召した若山富三郎の殺陣が早い早い。いつにもまして見栄えがすると思ったら、これが若山富三郎が見せた最後の殺陣となったようだ。
邦画の雷雨演出は陳腐でいまいちと思ってたけど、この映画の雷はかっこよかった。いずれもチープなのになんでそんな印象が違うのかよくわからない。
映画全体も、どうかというと舞台感が強いんだけど、それすらもなにか邦画のいい部分を濃縮しているように見えるから不思議だ。

任侠もののいちバリエーションとして消化してしまったけど、わりとそれで正解だった気がする。
「若山富三郎 THE LAST」といった風情もあった。
おれが星5つけたら、フィルマークスは3.1になった。
でもまだ足りない! amazonみたらamazon choiceに選ばれてるじゃん! 向こうは星5だぞ。そのくらいが適当だ。
面白かったです!
mh

mh