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悪魔の墓場のhorahukiのレビュー・感想・評価

悪魔の墓場(1974年製作の映画)
3.9
ヒロインにバイクぶっ壊されたせいで休暇が台無し…。
ついでにゾンビに襲われて警察にも容疑者にされちゃって踏んだり蹴ったりな主人公の週末を描いたゾンビ映画。

なにこれ!面白いやん!
ゾンビ映画ってホラーの中でもそんなに好きな方じゃなかったはずなんですけど、最近結構ツボに入るやつが多くて嬉しい!ちなみに日本で初めて公開された食人ゾンビ映画のようです。

あらすじ…
休暇をもらって友人に会いにバイクを走らせてる主人公。給油しようとしたら車にぶつけられバイクがぶっ壊れて休暇が台無しに…。ぶつけた女(ヒロイン)の車に目的地近くまで同乗させてもらうことになったが、ヒロインも姉に会うために急いでるようで、そっちに先に寄ることに。姉の家に着くと姉の夫が何者かに殺される現場に遭遇する。警察から犯人だと疑われた主人公たちは…。

反体制とか反権力を根底に置いたゾンビ映画。
本作ではもちろんゾンビが恐怖の対象として描かれているわけですが、ゾンビが主人公たちに襲いかかるだけではなく、もうひとつ主人公たちを追い詰める存在がある。それが警察。主人公は、死人が蘇って人を殺していることを必死に主張するのですが、警察は取り合いもしない。それどころか自分たちに都合の良い物語を作り、主人公を犯人に仕立て上げようとする。

ゾンビを全滅させれば主人公たちの勝ちなはずなのですが、全滅させると証拠がなくなり警察に逮捕されてしまう。薄い勝ち筋だけを提示し展開していく物語はハラハラするし、何よりもマジで警察がムカつく野郎なんで、警察とか公権力へのヘイトを推進力にする物語は私的に好み。ゾンビが権力に牙を剥くというのも象徴的だし、権力により虐げられた者による死後の世界からのカウンターという意味では怪談的でもあり完全にツボ。実際に本作のゾンビは写真に写らないから、死者ということをかなり意識して作られてるように思います。

そしてゾンビが生まれた原因はSF的。発展しすぎた技術に警鐘を鳴らし、ほかの生命をあたかも人の所有物のように思い通りにしようとする人類の驕りに対する罰としてのゾンビという50〜60年代のSF映画のモンスターのような意味合いをも持ってる。そういったジャンルミックス的な発想が斬新。

しかもゴアや人体破壊描写もなかなか気合が入ってて見応えあり!人殺して内臓を正座してパクパクしたり、生きたままおっぱい引きちぎったりとユニークなものが多いです。『サンゲリア』等でフルチと組んだジャネットデロッシが特殊メイクを担当してるらしく、フルチ作品ほどの過激さはないけど、かなりのインパクト!

そんな感じで面白いゾンビ映画でした!もともと『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の模倣として企画されたパクリ作品だったらしいのですが、あちらとは内容が全然違っててこちらも良作でした♫
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