シンタロー

雪国のシンタローのレビュー・感想・評価

雪国(1965年製作の映画)
3.4
"国境の長いトンネルを抜けると雪国であった"の書き出しで知られる川端康成の小説「雪国」を、大庭英雄監督×岩下志麻主演で映画化。東京に妻子のある島村は、旅をしながら翻訳の仕事などをしていた。東京に戻る途中、越後湯沢温泉に立ち寄り、19歳の駒子と初めて出会う。駒子は踊りの師匠に養女にもらわれ、まだ見習いの身。互いに惹かれ合った二人は、東京に帰る前夜、一夜を共にする。半年後、島村が再訪する最中、青年の看病をする娘・葉子に目を奪われる。その青年は駒子の師匠の息子・行男で、葉子は師匠の養女だった。今では師匠をはじめ、行男、葉子の面倒をみる為、駒子が芸者になったことを知る…。
これまた川端康成の名作。今回の舞台は雪景色が美しい。湯沢温泉はスキー人気で変わってしまったようで、実際のロケは長野の野沢温泉だそうです。そこは違和感なく素晴らしいのですが、この島村という身勝手男にイライラしてしまい、同じ男として全く共感できませんでした。こんな男になぜ駒子が惹かれるのか理解できず、結婚もできない、生活の面倒をみてくれるわけでもないのに…ただ、この駒子という女も情緒不安定で、悲劇のヒロイン症候群みたいな感じがイタい。救いのない結末は嫌いじゃないです。
主演の岩下志麻は、相変わらずの美しさですが、芸者になってからのかつらが何だか野暮ったい。田舎芸者だからこれでいいのかもしれないけど、序盤の娘時代が可愛すぎるだけに少し残念。野球拳のシーンは可愛くて最高です。島村役の木村功は、うまいこと女優陣を引き立てていて好演。悲惨な事故がなければ佐田啓二だったそうですが、そちらも観てみたかった気はします。加賀まりこが可愛いのは毎度ですが、申し訳ないけど芝居はあまり良いと思ったことないです。掴みどころのないファムファタール的役ですが、ルックスと芝居のアンバランスが絶妙に滑稽。
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