NM

オテサーネク 妄想の子供のNMのレビュー・感想・評価

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)
3.8
開始1分で怖い。でも何ていうかオシャレな怖さ。芸術的な悪夢を見ているようなイメージ。古い映画のような雰囲気だが2021年作。
ちゃんと気味は悪いので子どもが観たらトラウマにはなりそう。

おおーと思いながら観ていると妻があの状況で精神を壊してしまうのは別に現実にもあり得る話で、あれそういう話がメインなのか?と思いつつ、いや次のすごい展開があるのかもと観続けてみる。
すると見事にとんでもないことになった。

続いて介入する少女。冷めた子どもかと思っていたら急に今までない行動力を発揮。妻にしろ少女にしろ、オテサーネクには標的を惹きつけこの子を守らなければと思わせる能力でもあるのだろうか。まともな判断能力を奪うように見える。
他の人も、不審な事件が続いているのに事態が悪化するまで、考え過ぎかなとスルーしてしまっているのもポイント。

『オテサーネク』はチェコに伝わる民話。子どものいない夫婦が赤ん坊のような切り株を掘り起こしたところそれがあっという間に成長し……、という映画の通りの内容。それを不気味度マシマシに映像化した感じかな。

進むに連れいつの間にかのめり込んでしまいラストも集中して観られた。地下へ向かう姿が勇者そのもので格好いい。
唐突なエンディングの音楽が華やかなオーケストラでそれもシュール。

キービジュアルにこのシーン(少女がお行儀悪く目玉焼き舐めてるとこ)を使ったのはこの子が恐ろしい化け物なのかと思ってしまうミスリードでもあるけど、よくここに目の付けたなという意味ですごい。
このように静止画にして切り取るとどうも気味が悪い、というシーンが作品内に無数に溢れている。

とても良かった。
ただしばらく食欲がなくなる作品。
NM

NM