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オテサーネク 妄想の子供のsaboのレビュー・感想・評価

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)
4.5
鑑賞日2023/04/22

長い間不妊に悩まされていたホラーク夫妻。
落ち込む妻のボジェナを慰めようと夫カレルは別荘をプレゼントする。しかしボジェナは塞ぎ込むばかり。カレルはなんとか慰めようと思い、別荘の庭で掘り起こした切り株の根っ子で赤ん坊の人形を拵えてプレゼントする。
するとボジェナは狂喜乱舞して甲斐甲斐しく世話をし始めた。
夫は切り株の赤ん坊にオチークと名を付けて、妻は尋常ではない程に溺愛する。
ところがある日、オチークが突然夫妻の飼い猫を食べてしまう。
まるで生きているかの様に暴れ、口に入るものは際限なく食べ始める。
カレルはバラバラに切って棄てようとするが、ボジェナが必死の形相で止める。
そんな矢先、ついにオチークは人間まで食べてしまう。
次々と夫妻の周辺で消息を絶つ人々。
果たしてオチークの顛末は………

※本作は可能な限り予備知識無しでの鑑賞をオススメします❗(*-ω人)✨

❗感想(ネタバレ含む)❗
(・∀・)こんちゎ♪
なんかしれっとアマプラにヤン・シュヴァンクマイエルのオテサーネクが入ってて慌てて鑑賞です💦あと10日で見逃すところでした〜
(;´∀`)アブナイアブナイ💦

まずこのお話ですがチェコの民話『オテサーネク(食人木)』を下敷きに、ヤン・シュヴァンクマイエル節を全開にトッピングしております✨

かなりグロい、そしてエロい(私的にですがw)
エロいに関してはヤンさんならではというか、妖艶とか婬靡とかのエモ系な感じではなく、ド直球ドストライク完全アウトな卑猥系です。
“チャックからお手手”はなんかヤンさんのショートフィルムでも類似表現あるあるですね。
手とか口とか目とかとか、、、好きですよねぇ、ヤンさん。(*´﹃`*)

そして本作を彩る華麗なる悪意溢れる登場人物達✨
まずオープニングから苛つきます。
ヒステリックな赤ん坊の金切り声と乱暴に切り貼りされた赤ん坊の姿は天使どころか悪魔の申し子そのものであり、このあと展開されるであろう悪夢を忠実に示唆しています。
世の母親の我が子に対する愛情も傍から見れば時に常軌を逸脱している、、という皮肉ですか?(゚∀゚)
所詮お腹を痛めないお父さんにしたら赤ん坊も切り株の赤ん坊も同じ様なモノ、、という冷徹さ。カレルに至っては量り売りの魚とえらく変わらんみたいです。
そして本作の準ヒロインであるアルジュビェトカ。見るからに小憎たらしい、その見た目を裏切らない筋金入りの悪童っぷりです。
そんなアルジュビェトカを見てはチャックからお手手しちゃう小児性愛者のジュラーベク氏。この御老体、見たところ気も体も弱々しく社会的弱者の皮を被ってるところもクセ者です。
暴力的で専横的なアルジュビェトカの父、小さな親切にして大きなお世話を焼く母。
そして“庭でキャベツを育てる”という本作の最も大役を務める管理人さん。彼女が唯一マトモでした。
彼女がラストを飾ることでようやく観ている側の私達もエンディングと共にマトモな現実世界に精神状態を戻すことが出来ます、そんな気がします(笑

と、、ま。一息に本作に対する称賛を語りましたが、132分という長尺を感じさせないくらいドキドキ楽しめました✨(*´ω`*)✨
個人的には『アリス』に比べ中だるみが無く、次々と起こる予測不能な事態に次の展開が気になりました♪

ヤン・シュヴァンクマイエル作品が好きな方には是非是非オススメです!
“ヤン・シュヴァンクマイエル作品が好きな方”には是非是非オススメです!

大事な事なので2回言いましたよ、と。_φ(・_・

ストーリー:4.5
音   楽:4.5
キ ャ ス ト :4.5
ビジュアル:4.5

イタズラ黒猫〜お前もか!!(ΦωΦ)ナゴ
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