鹿shika

オテサーネク 妄想の子供の鹿shikaのレビュー・感想・評価

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)
3.3
不妊の妻を慰めるために、切り株から人形の形に削ってプレゼントする。妻は本物のように切り株に接し、夫もその嘘に付き合う。しかし隣に住む少女は見てしまった。それが動いているところを、、

ヤン・シュヴァンクマイエル監督作品は『アリス』しか見たことがないのだが、それでも思ったことだが、この監督の目に世界はどのように映っているのだろうか?
という素朴な疑問が生まれるんだよな!
今作も奇妙極まりない作品だった。

しっかりとダークファンタジーになった。
オティークという怪物の物語(チェコ民謡)がベースとなっており、それが前提として隣の家の少女が持っていた物語通りに話が進んでいくので、その辺は『アリス』と同じだったのだな。

キービジュアルだけの情報だけだと、可愛らしい女の子の話だと思うだろうが、違う。
そしてこの映画で伝えたいのは、不妊のストレスでの母性の愚かさとかだと思うだろ?
しかし全くそうではない。殺人も起こるしホラー要素でしかない笑

というか一番怖かったのは、オティークじゃなくて、この母親だったよな。すぐバレるような大胆なウソを早々に広め、夫しか焦っていない。
1ヶ月ごとに大きさの異なるクッションを作るほど、入念に嘘を作り上げているにも関わらず、
あたかも嘘を作り上げるそんな行為を、まるで妊娠に伴う現象のように魅せる。
陣痛の時の痛がり方など、ウソだと知っている夫の前でもあんなに痛がる狂気っぷり。

そして怪物が生まれたんだ。愚かで間違った方向の母性が、怪物を生み出すという哀しい話だったな。
私はこういう奇妙な映画大好きなので、、
というかこの監督に俄然、興味が湧く。他の作品も見てみよう。
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