よっくる

オテサーネク 妄想の子供のよっくるのネタバレレビュー・内容・結末

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

出てくる食べ物が不味そうと評判だったので観てみた。生半可な気持ちだったが、本当に不味そうでビックリした。
いやだって3食食材が溶けきった具なしスープだもんさ!!わたしが大好きな絵本『ぼうぼう頭』に出てくるスープ嫌いすぎて餓死するガスパールくんの気持ちがめちゃくちゃ理解できた。こりゃ食いたくないわ!!餓死もやだけど!!!

閑話休題。
この映画は、お伽噺の完全実写化。
偽りなく完全実写化できていると断言して良い。これを「実写」って言うんだ!っていう美学を感じた。360°どこから見ても美しいとわかりきっているCGではなく、作ったものを動かすという泥臭さの中の美。
かなり好き嫌いがわかれると思うが、個人的には好き。
サカナクションの『目が明く藍色』のMVみがあって、グロかわいい。

ちなみに、実際にあるチェコの民話が元になっているらしい。へぇ~。

【⚠️ここからネタバレ⚠️】
あるところに、子どもができないことに悩む夫婦がいました。
周囲の人間は無責任にも、子どもはいつ?とか子どもがいなきゃダメよ~みたいなクソプレッシャーを夫婦に与えまくるので、耐えられなくなり子どもができたと嘘をついてしまいました。
お腹にはクッションを入れれば誤魔化せましたが、あっという間に十月十日が経ち、にっちもさっちもいかなくなった夫婦は切り株を赤ちゃんだと偽って服を着せ……ここから驚きの悲劇に転落していくストーリー。

ただの切り株に服を着せてたりご飯を与えたりしている母親の様子は、けっこう本当にちゃんと痛々しくて悲しい。

切り株が、見境のない食いしん坊モンスター(超絶マイルドな表現です)に成長して、ぜーんぶ(文字通り全部)食べちゃうところはなかなかグロく面白かった。
近所のおじいちゃんの設定は必要だったかは謎。こういう子どもにとって害のある人には生殖能力があるのに、子どもがほしいと思っていて、ホワイトカラーで稼ぎのあるお父さんには生殖能力がないことをしつこく見せる嫌味かも(父親の方に原因があったかは記憶にないです)。不快感はたっぷりねっとりあった。

映画も、作中に登場する『オテサーネク』の同名絵本と同様に進む。切り株モンスターが両親含め恩も恨みもなくみんな食ってしまう救いようのなさは、浦沢直樹の『Monster』に出てくる名前のない怪物をほんのちょっぴり彷彿とさせたが、時系列的に逆かもしれない。世界には似たような民話がしこたまあるのかもしれない。

最終的な感想としては、管理人のおばあちゃんが最強!だった。農具はな、武器にもなるんじゃ(ちがう)。
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