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オテサーネク 妄想の子供のMonisanのレビュー・感想・評価

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)
4.1
観た。

東欧ってこういう不気味さあるよな‥
ダークファンタジー、というより闇童話というか、この映画的には病み童話でもあるな。

冒頭のオープニングクレジットから不穏、赤ちゃんの写真なのに何故にこんなに不安な気持ちにされられるんだ。
生簀からすくわれ、秤にかけて売られる赤ん坊。
不妊に病んで幻覚を見ている夫婦と、おませな無愛想な疑心暗鬼な女の子、ガチで児童性愛者の爺。まともな登場人物がいないのかと‥。

良かれと思って夫がこしらえた木の人形に、異常なまでに固執する妻。クッションにナンバリングして偽装妊娠までする。この辺りで旦那が阻止していればとも。

オチークが動き出してからは、シュヴァンクマイエルが更に本領を発揮して、狂ったような動きのアニメーション。

悲劇は続き、気づいた少女は絵本を読む事で対策を考えているのかと思いきや、まさか自分が匿うとは。歪みが歪みを産み、全然解決する様子が無いのが絶望的。
最後は寓話通りになったのか、それすらも分からない。

まぁ食事が全て不味そうに描かれる。今後もしチェコに行く機会があったとしてもこの映画のトラウマで美味しくご飯を食べられないかもしれない。
時折入る、コマ撮りの変なCMは何かを暗喩しているのかもしれないけど、単純に怖いCM感あって好き。

オチークとか絶対的な悪のモンスターなのに、赤ん坊の声で泣くあたりが狡い。切ないのよね、妻の気持ちも分からないではない。でも猫への扱いとか最期とか‥。全く同情の余地も無い。このアパートはどうなってしまうのか。
結果として、この後、誰も幸せになっていないんだろうなと思ってしまう。でも少女のお父さんだけは逞しく生きていってくれるかもしれない。

チェコの民話「オテサーネク(食人木)」を土台にして作られた映画、との事。

ヤン・シュヴァンクマイエル、原案、脚本・監督
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