不在

オテサーネク 妄想の子供の不在のレビュー・感想・評価

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)
4.2
本作のポスタービジュアル(玉子を舐めてる少女とは別の物)は、幼いイエスを聖母マリアがその手に抱いている構図を模倣した物になっている。
不妊に悩むこの夫婦は、本来目には見えないはずのものを、この世に具象化してしまった。
もう一人の神を自らの手で創り上げてしまったのだ。
この神を装った悪魔は、堕落した人間達だけでは飽き足らず、遂には羊飼いの姿をしたキリストすらも飲み込んでしまう。
そこから人類を救うのは、鋤を持ったアパートの管理人だ。

この鋤というイメージは、神の教えを受け入れやすくする為に心の土壌を耕す道具として、あるいは平和の為に剣が形を変えたものとして、聖書に度々登場する。
つまり本作は、敬虔な信者である管理人が、人によって創られた邪神を、武器ではなく農具によって殺し、既存の神を救うという話なのだ。

人類は新たな神を創造する段階まで上り詰めてしまった。
しかし人々が崇め、敬い、畏れる事を許されているのは従来の神であり、それを犯す者には、厳しい裁きが待っている。
本作は聖書に載っていても違和感がないかもしれない…。
不在

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