シンタロー

彼岸花のシンタローのレビュー・感想・評価

彼岸花(1958年製作の映画)
4.0
名匠・小津安二郎監督の初カラー作品。会社で常務をしている平山は、同窓生の河合の娘の結婚式に夫婦で出席。長女・節子も適齢期を迎えていて、条件の良い縁談を考えていた。式に欠席した仲間の三上からは、娘の文子が家出して男と同棲し、水商売していると悩みを相談される。ある日、京都で旅館の女将をしている友人の初と、娘の幸子が訪れる。初は次々と縁談を持っていくが、幸子に全くその気がなさそうだと嘆く。幸子と節子は、親が面倒な事を言ってきたら、その時は協力し合おうと約束するが…。
小津監督のホームドラマ的な作品も、祖父母とよく観ました。懐かしい。笑えて泣けるコメディ感覚が最高なのは言うまでもありませんが、この作品が特に素晴らしいと思うのは、小津監督が初カラー作品を最大限に意識されて、色彩鮮やかに細部まで綿密に構想されている所。メインになる平山家の居間一つとっても、食卓、薬缶、ラジオ等、配置や色にこだわりが感じられる。女優陣の衣装やメイク、バッグ等も同様。いかに美しく映えるか…そんな所に着目してるだけで何回でも観れてしまいます。
豪華過ぎる俳優陣は皆さん素晴らしい。田中絹代のお母さん。立ち居振舞い、芝居が上手くて素敵だなぁ。頑固親父を立てながら、娘を見守り応援する感じ、泣ける。浪花千栄子もいい味出してる。こんな流暢で綺麗な京都弁、なかなか聞けないわ。田中絹代や山本富士子との絡みが最高におもしろい。和装が華やかな山本富士子は大映から招かれただけあって見せ場たっぷり。そのせいで久我美子出番カットされた?こちらは地味で少し勿体ない感じ。ベリーショートが愛くるしい有馬稲子の可愛らしさは唯一無二。小津作品常連のベテラン男優陣は安定。そんな中、若手の高橋貞二のコミカルな芝居が笑える。
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