ハレンチ学園在学生

彼岸花のハレンチ学園在学生のレビュー・感想・評価

彼岸花(1958年製作の映画)
4.0
58年松竹。約65年前の作品で、当時の日本家屋(セットだろう)、普段使いの和装、家父長制的家族、女性の結婚適齢期感覚などを見ていると、異世界の話のようにも思える。小津組の芸達者な役者たちの存在は、小津独特の演出で異様な輝きを得るわけだが、とりわけ田中絹代の母親役がかわいらしくも恐ろしくも映る。戦争の時、爆撃で狭い防空壕の中に家族4人が避難したときに家族が一体となって幸せを感じたというセリフはなかなか出てくるものではあるまいし田中が口にすると重厚感をもって迫って来る。作劇としては肝心の有馬稲子と佐田啓二の結婚式を一切映さず、脚本の妙味を感じた。