カップルズを配信している動画配信サービス

『カップルズ』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

カップルズ
動画配信は2024年3月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

『カップルズ』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

3.9
 夜の街を蛇行しながら走るMINI CABを、ピンク色のジャケットを着た男がバイクで追いかける。男はどうやら組織の上司から指示を受けているらしい。組織は悪徳実業家で大富豪の父親を探しているが見つからず、彼の息子であるチェンに狙いを付ける。ほどなくしてMINI CABから2人組が降りるが、男は軽トラを追う。すると無軌道な走りを続ける軽トラは右にハンドルを切り、停車していたピンク色のベンツの横っ腹をえぐる。リーダー格のレッドフィッシュ(タン・ツォンシェン)、ハンサムな女たらしホンコン(チャン・チェン)、口達者なトゥースペイスト(ワン・チーザン)、新入りのルンルン(クー・ユールン)は無軌道な暴力を繰り返す不良グループだった。悪徳実業家を父に持つレッドフィッシュの号令のもと、詐欺まがいの荒稼ぎをしたり、一人の女の子を回したり、アパートの一室で勝手気ままな生活をしていた。その日、イギリス人の実業家マーカス(ニック・エリクソン)を騙そうと画策していた4人はアリソン(アイビー・チェン)を手玉に取るが、もう1人の女マルト(ヴィルジニー・ルドワイヤン)に目を付ける。彼女は元恋人であるマーカスが忘れられず、遠くフランスからこの地にやって来ていた。レッドフィッシュは、右も左も分からない彼女を言葉巧みに誘い入れ、売春組織に売り飛ばそうと企む。

 『クーリンチェ少年殺人事件』で主人公を演じた張震とプレスリーを歌う王啓讃を再びメイン・キャストに起用した物語は、バブル経済末期の台湾の危うさの中で男たちがもがく。悪名高い父親を疎ましく思いつつも、その冷酷な人生哲学に倣って生きるレッドフィッシュは、かつて父を破産に追い込んだ女アンジェラに復讐計画を練る。『クーリンチェ少年殺人事件』同様に、ここでも父との確執は重く深い。一方で最近入った新入りで、悪に染まりきっていないルンルンは、マルトの健気な可愛さに恋をする。彼ら4人を執拗に追う組織の殺し屋2人組などフィルム・ノワールの要素を取り入れながら、享楽的に生きる男たちは女たちを騙し、生き永らえる。『クーリンチェ少年殺人事件』で張震が放ったナイーブな魅力は今作ではルンルンにトレースされる。張震の役柄は『クーリンチェ少年殺人事件』の小四とは対照的な人物だが、その未来はグラグラと音を立て、今にも崩れそうな危うさを秘めている。クライマックスのマーカスの言葉が象徴するように、台湾は右肩上がりで成長を続けたが、そのレールから外れた落伍者たちの焦燥感をエドワード・ヤンは長回しを巧みに駆使しながら、突き放すような冷たい視線で描く。残念ながら『クーリンチェ少年殺人事件』のような奇跡は起こらないものの、決して嫌いになれない映画である。
11月6日は台湾ニューシネマの旗手エドワード・ヤン監督のお誕生日。
生きていれば今日で70歳に。

大人や社会をひたすら舐めまくり、無軌道な享楽に耽る17歳たちの現状をヤン監督が描破した青春群像劇。

その根底は物質的豊かさに甘えて育った少年たちの不道徳さ・愛の欠如が強調されており、
彼らはそれぞれの家庭で抱える孤独感を埋める為、友情の結束を盲信することで自分の居場所を得ようとしているかのよう。

そもそも彼らは台湾の経済成長によって他人を利用し、蔑ろにしてきた世代の息子たち。
そのツケは若者の退廃した風紀として台湾の未来を徐々に蝕み始めようとしています。

そんな中でも清く正しくあろうとする人が結び付き、報われる役満ラスト。

当時フランスでメキメキ頭角を表していたヴィルジニー・ルドワイヤンをヒロインに迎え、
一方でクーリンチェに出演していた子役たちが成長し、チャン・チェンも本作では見習い美容師のスケコマシ野郎ホンコンを好演。

ヤン監督のこだわりは喧騒の中にポツンと存在する孤独であり、愛であり、美徳を至上とする心の在り方なのかも知れません。
『あの時代の台湾が永久になる。狙いすましたラストシーンまで駆け抜ける青春の物語』

劇場でのマイベスト映画鑑賞体験のひとつ【クーリンチェ少年殺人事件】。
それを生み出したエドワード・ヤン監督が”クーリンチェ後”に撮った本作。
キャスト陣も含めて、それはまさに並行世界線の先に生まれたような青春映画だった。

舞台はバブル経済終期の台北。
悪名高い実業家を父にもつレッドフィッシュ。
ハンサムで女を手だまにとるホンコン。
占いと称して誰をも騙せるトゥースペイスト。
そのコミュニティに新しく入ったルンルン。
まだ若い4人組が行う「よくないビジネス」がもたらす事の顛末を描く。

やはりエドワード・ヤン監督は、人、時代、その光(過去)と影(未来)を描くのが抜群に上手い。
ナレーションも、キャラクターの説明的な(心情含め)語りもない。
淡々とそこに生きる人達の言葉と行動を映し出しているだけなのに、それ以上の情報と物語が流れ出してくる。
だからこそ、観ているこちらは神の視点のような俯瞰で、それでいて当時の台湾へとぐっと入り混んでいけるのだろう。
物語の背景や余白、キャラクターの背景を観ている自分のなかで補って味わえるのが大きな魅力。

そして、そんな背景や未来をそれとなく補って(予感して)しまえるのは、主要キャラも同じ。
バブル期の乱反射する希望(欲望)の光を知りつつ、それとなく未来の自分たちに待ち受ける影を悟っている。
だからこそ、ヒリヒリするような刹那の青春を駆け抜ける。
この映画の中と映画の外のシンクロが、キャラクターへの愛着を生む。
要するに、どの登場人物も魅力的で”キャラが立って”いる。

”勘の鋭い”少年たちは、女だろうが誰だろうが構わず餌にして、ナイフのように日々を切り裂いて生きる。
四方八方をズタズタにしているようでいて、自分たちの可能性も希望も、そして心もズタボロにして生きている。
その4人にフランスからやってきた美女・マルトが風を吹かせる。
その風は誰にとっての追い風で、逆風であろうか。
いや、風を巻き起こすマルトが泣く(鳴く)とき、誰が気づくであろうか。
大きな山(ヤマ)が動くとき、ドラマはそれぞれの結末(終局)に向かって走り出す。

ヒリヒリするような青春ドラマに、エドワード・ヤンが用意したラスト。
そのずっと狙いすましてきたような見事なアガリで、”あの時代の台湾”は永遠に。
青春(人生)の余韻が観ている自分の心にも残り続ける。

『カップルズ』に似ている作品

青春神話

製作国:

上映時間:

106分
3.9

あらすじ

夜の台北を舞台に、刹那的に生きる若者たちを描いた青春群像劇。街で見かけたリー・カンションを主人公の予備校生に起用し、映画史に残るコラボレーションの始まりとなった長編デビュー作。東京国際映画…

>>続きを読む

ナイルの娘

製作国:

上映時間:

84分

ジャンル:

配給:

  • 松竹
3.8

あらすじ

母を亡くし、父は遠い町に暮らす孤独な少女、シャオヤン。彼女は「ナイルの娘」という日本の漫画に夢中。兄の経営するレストランで働くアーサンという男に想いを寄せる彼女だったが、ある日アーサンはヤ…

>>続きを読む

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版

上映日:

2017年03月11日

製作国:

上映時間:

236分

ジャンル:

配給:

  • ビターズ・エンド
4.1

あらすじ

1960年代の台湾・台北。夜間中学に通うスーは不良グループ・小公園に属するモーやズルらといつもつるんでいた。スーはある日ミンという少女と知り合う。彼女は小公園のボス、ハニーの女で、ハニーは…

>>続きを読む

天使の涙 4Kレストア版

上映日:

2022年08月19日

製作国:

上映時間:

99分

ジャンル:

4.0

あらすじ

顔を合わせることはほとんどない殺し屋とエージェント。エージェントは殺し屋に惹かれていたが、ある日、彼は突然姿を消してしまう。一方、エージェントが住むマンションの管理人の息子・モウは、ある日…

>>続きを読む

憂鬱な楽園

製作国:

上映時間:

112分

ジャンル:

配給:

  • 松竹
3.7

あらすじ

中年間近のチンピラと、弟分と彼の恋人のその日暮らしの毎日を描いた一編。チンピラのガオは40近いが正業に就かず、弟分のピィエンと彼の恋人のマーホァを連れて、田舎町の平渓にやって来る。

メイド・イン・ホンコン/香港製造 デジタル・リマスター版

上映日:

2018年03月10日

製作国:

上映時間:

108分

ジャンル:

3.8

あらすじ

1997年、中国返還目前の香港。借金取りを手伝う青年・チャウと弟分のロンは、ベリーショートが魅力的な少女・ペンと出会う。飛び降り自殺した女子学生の遺書を偶然手にしたことを機に、3人のなかで…

>>続きを読む

ラヴソング

製作国:

上映時間:

118分

ジャンル:

配給:

  • ワーナー・ブラザース映画
4.0

あらすじ

中国大陸から香港に渡って来た青年・シウクワンは、同じ大陸出身者の女性・レイキウと出会う。大陸出身ということを隠し、社会にとけ込んで働くレイキウと、純朴で優しいシウクワン。一見対照的ながら友…

>>続きを読む