東宝が60年代後半から連発した一連の変な青春路線、何か呼び名がほしいところ(加山雄三の全能感をモンスターとして捉え直しているものが多い)。
飲み屋の娘で男性恐怖症気味の酒井和歌子。ふしだらな母親・森光子。
中村登映画みたいな設定だ(翻って小津っぽくもあるか)。
医者である加山雄三が酒井和歌子の胸を診察する場面はボディダブルだろうが、ウブな酒井和歌子の唇を見て欲情するなど実に不遜な男として描かれる。
妻子ある身であちこちでやりまくっていて碌でもないが、酒井和歌子は内心惹かれていく。
ボーイフレンドの佐々木勝彦はボンクラだし、レモンを持ち歩く青年にもストーキングされていて実に男運が悪い。
レモン青年の登場パートだけ強姦モノのロマンポルノみたいで不気味だが、要は性愛に恐怖しつつ持て余して彷徨う女の話で、ロマンポルノ向きの話だと思う。
それを東宝青春映画のスタイルに無理やり押し込めているので、これまた歪。