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ブラッド・シンプルのRのネタバレレビュー・内容・結末

ブラッド・シンプル(1984年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

1984年のアメリカの作品。

監督は「マクベス」のジョエル・コーエン。

あらすじ

テキサス州のとある街、酒場の経営者マーティ(ダン・ヘダヤ「プール」)は妻のアビー(フランシス・マクドーマンド「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」)と従業員のレイ(ジョン・ゲッツ「ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択」)が浮気をしているのではないかと疑い、私立探偵のローレン(M・エメット・ウォルシュ「ある神父の希望と絶望の7日間」)を雇い、その動向を調査させていたが、そこで妻の不貞を確信したマーティはアビーとレイの殺害をローレンに依頼する。

U-NEXTにて。

ジョエル・コーエンと言えば、俺自身恥ずかしながら、あんまり観たことがないんだけど、「ファーゴ」や「ノー・カントリー」など何度もアカデミー受賞してるし、その作品が公開されるとあれば、好事家たちがこぞって押し寄せるくらいの世界的な名監督コンビ、その2人の本作は長編デビュー作。

お話はあらすじの通り、登場人物もあらすじに書いたマーティとアビー、レイを中心に数人しか出ていない、タイトル通り「シンプル」な作り。

ただ、その分、ねっとりと闇がかったカメラワークがまるでノワール映画のようで、それが独特の本作の色味をもたらしてくれる。

BGMも無駄に使わないし、シーン一つ一つもじっくりとまるでドキュメンタリックに粘りっぽく撮っていく。

お話的にはマーティ視点の流れからローレン→レイ→そしてアビーと視点が流れていくんだけど、特筆すべきはレイのシーン。

中盤ここからネタバレに入るんだけど

酒場のお金を奪うためにマーティがローレンに殺されちゃうんだけど、その後、部屋に入ったレイが床に落ちていたローレンが捨てた銃を踏ん付けて謝って発砲、それをその先に射殺されていたマーティに誤射したと勘違いしたレイがマーティの遺体を始末しようとするんだけど、その遺体をどうしようかと悩み、車に乗せ、闇がかった公道を茫然としながら運転して、どう始末するか逡巡、そして遺体を始末するまでの流れを本当にじっくりと描いており、尺をふんだんに使った分、臨場感が半端ない。

あぁ、多分人を誤って殺してしまい、証拠隠滅を図ろうとする人ってこういう気持ちになるんだろうなぁというのが本当に伝わってきて、いい意味でゲンナリする…。

また、演じ手も少ない分、濃ゆくて、注目すべきは現在絶賛公開中のウェス・アンダーソン最新作「フレンチ・ディスパッチ」にも出演している演技派フランシス・マクドーマンドがまだ若い感じで出演しているところ!今の酸いも甘いも熟知したような強かな女性って感じじゃなく、まだ本当にか弱げな部分もあるんだけど、ただ終盤のローレンとの対決シーンでは「スリー・ビルボード」よろしく「闘う女性」って感じがして、今の片鱗を感じさせる。

また、個人的にはマーティ役のダン・ヘダヤっていう俳優さんのやだみがものすごくて、なんつーか見た目は濃ゆい顔立ちのオッサンなんだけど、言動の端々にパワハラ気質な高圧的な部分も見受けられつつ、めちゃくちゃ暗い性格で、この人絶対執念深いんだろうなぁっていうのがビシビシと伝わってくる。

ちょっと「ロスト・ワールド」でティラノに食われるおっさんに似てたけど、どうやらハゲ繋がりってだけでした笑。

まぁ、とにかくこれが長編一作目というのは、やっぱ腕あるわと思わせる意欲作で、そういう意味でも観て良かった作品だった。これからもっとコーエン兄弟作品も観ていきたい。

物語り的には淡々と進んでいく部分もあるので、夜にしっぽりと観るのがオススメだけど、しっぽりしすぎて気絶しちゃう危険性もあるので注意!!
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