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禁じられた恋の島の一人旅のレビュー・感想・評価

禁じられた恋の島(1962年製作の映画)
3.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ダミアーノ・ダミアーニ監督作。

ナポリ湾に浮かぶ島を舞台に、父親が連れ帰った若い継母に対する少年の恋を描いた青春ドラマ。

“少年と継母の禁断の恋”を描いたイタリア映画で、放浪癖のある父親が旅先から妻として連れ帰った若い継母に恋する少年アルトゥーロの繊細な心情と、精神的に父親に依存する少年の心の自立と成長を、モノクロの島風景&メロディアスな音楽で綴った作品。

若い継母と言っても少年と年齢がほとんど変わらない(1~2歳差)。新しい母親というより同級生の美しい女性が突然現れた感じなので、アルトゥーロの心は激しく揺れ動くことに。いくら父親の女であるとはいえ、いきなり同じ家に見知らぬ美人が住み着くともなれば意識せざるをえない。それに、父親は放浪癖のある“クズ男”で、浅黒い肌のアルトゥーロを黒人に対する蔑称で呼んだり、妻として迎えたばかりの継母にも冷たい態度を取る。しまいには、ふらっとまた旅に出てしまい、家にはアルトゥーロと継母だけが取り残される展開に。こうなればもはやアルトゥーロの独壇場で、ここぞとばかりに自分の恋心を必死にアピールする。それがちょっと狂気的で、生まれたばかりの赤ちゃんに嫉妬するあまり大量の薬を飲んで自殺を図り継母から同情を得ようとしたり、継母が食べたメロンのかじり跡に唇を密着させるという変態っぷりが凄烈。

それまで恋を知らなかった純朴な少年にとって、若く美しい継母の出現はあまりに刺激的。父親に認めてもらえない孤独な少年から、初めての恋に燃えるアグレッシブな少年に様変わりする。果たしてアルトゥーロの恋の結末は…。

少年の心理描写が出色で、少年と継母の禁断の恋といういかにもメロドラマ向きの悲恋をダミアーニ監督の繊細な演出が支えている。ピエトロ・ジェルミの『越境者』(1950)『鉄道員』(1956)『誘惑されて棄てられて』(1963)などで知られるイタリアを代表する作曲家カルロ・ルスティケリによる情感に満ちた音楽も印象に残る。
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