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野菊の如き君なりきのko0のレビュー・感想・評価

野菊の如き君なりき(1955年製作の映画)
4.5
名作。戦前の信州を舞台としたもの哀しい恋愛映画。

ティーンの男女が、こんなにも村中でいじられ、身内からいじめに遭うってそんな時代だったのね。本家と分家の身分の違いが原因なのか、日本のロミオとジュリエット。

こういう子役を使った映画では多いけど、政夫と民子、2人のその素朴な演技がまた2人の純真無垢なところを上手く表していて心に染みる。

民子が結婚を承知するシーン。誰がどうみても渋々なのを、親族一同これで民子は幸せだと言うシーンはもはやホラーにも見える。そして唯一民子の心境を慮るおばあちゃんがてっきり80〜90歳くらいかと思ったら、今年で60歳という台詞にさらに衝撃。

本作は回想シーンを楕円形の画で表現するユニークな試みで知られるが、劇中の一シーンがそう表現されるだけかと思いきや、劇中の大半を回想シーンが占め、こんなに楕円形ばかりの映画とは。なんとも実験性の高い映画であることを実感する。
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