horahuki

巨大生物の島のhorahukiのレビュー・感想・評価

巨大生物の島(1976年製作の映画)
3.2
でっかくなったネズミさんが襲い来る!
休暇を利用して遊びに来た無人島で巨大な動物たちとの壮絶なバトルを繰り広げることになった若者たちの奮闘を描くアニマルパニック映画。

長い間DVDが廃盤で手を出せなかった本作がついにスティングレイからBlu-ray化!やっと見ることができました。BIGことバートIゴードン監督による特撮・合成技術が素晴らしく、今見ると違和感はあるにしても、同一画面内で巨大化したネズミの大群とやり合うシーンは高クオリティで楽しめました♫

巨大化するとは言っても、ゴジラみたいな怪獣レベルにまで大きくなるわけではありません。それでも、子どもくらいの大きさの蜂が空から襲って来て背中に張り付いたり、人の腕ほどのいも虫が何匹もキッチンから出てきたりと絶妙なサイズ加減が嫌悪感を演出している。いも虫はマジでキモかった…。

他にも人間の大人くらいのサイズの鶏との死闘はカットを細かく割ることで作り物感を極力出さずに緊迫感を盛り上げているし、何よりもミニチュアと特撮・合成技術を使った巨大ネズミたちの蠢く様は圧巻の迫力。

VHS版では『巨大ネズミの襲撃』というタイトルがつけられている通り、本作のメインはネズミたち。大量のネズミを購入して撮影したようで、本物だからこその計算されていないリアルな動きが良い味を出している。ショットガンで撃たれ、血飛沫あげながら吹っ飛ぶシーンなんて本当にネズミを殺してるとしか思えないほどにリアル。でもBIG監督曰く一匹も殺していないということだから、改めてその卓越した技術力・演出力に驚く。まぁ真偽はわからんけども。

それとロケーションが凄く良い。カナダ北部にあるボーエン島というところで撮影をしたらしいのですが、雲に覆われた島の外観が秘境的な雰囲気を醸し出しており、未知のものが生息していることに説得力を持たせている。

ただ物語はかなりチープで、主人公の行動動機がイマイチ腑に落ちない。結局主人公の判断が正しいということで物語は進んで行くんだけど、周りの意見を全く聞かずにあまりに独善的な行動を続けるもんだからイライラ。結果的にうまく行くんだけど、拝金主義のクソ野郎の言うこと聞いといた方が良かったんじゃないの?と思ってしまうほど。

とはいえラストの余韻も嫌な雰囲気が漂っていて好きだし、地中から勝手に湧き出したドロッドロな液体を食べることで巨大化するという地球環境から人間への反撃的な要素が陳腐ではあるんだけど、昔のSF映画の王道な感じで良かった。ちなみに似たタイトルの『SF/巨大生物の島』とは何の関係もありません。
horahuki

horahuki