せびたん

ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌のせびたんのレビュー・感想・評価

1.0
前作同様、本作も内容的には子供向けなんだろうけど、「人間は冷酷で自分勝手だ」「人間は強欲だ」「加害者だ」みたいなメッセージが執拗に(そして強く)発信されてたので、子供には見せたくないですわ。とりわけ「加害者だ」ていうのがヤバいと思いますわ。

残忍な人間がとある妖怪の一族を滅ぼした、とか、人間に恋した無力な1匹の妖怪を人間達が寄ってたかって虐殺した、みたいなエピソードが、人間を恨む妖怪によって激しい口調で執拗に繰り返しヒロイン(人間)に対して再現映像付きで語られ続けます。妖怪は被害者で人間は加害者だと言い続けるんすよ。

その執拗な人間批判に対しては、クライマックスでさらっと鬼太郎によるフォロー?反論?が入ってからエンディング迎えてた気がしますけど、前半から終盤にかけて、かなりのボリュームで一方的に人間批判が続いたので、鬼太郎の反論の内容がまったく記憶に残らなくてわろたですわ。
なんせ体感で5秒くらいの時間しか反論に使われてなかったですしねー。もやもやが晴れないまま妖怪退治されてもなぁ。
大人の私でさえなんとも言えないイヤな気分が鑑賞後に残りました。

ちなみに恨み言を言われてる間、人間サイドは何も言い返せない雰囲気で黙って聴いているっていう。
にも関わらず、鬼太郎のひと言感想レベルの反論+鬼太郎の暴力による解決(妖怪退治ではあるけれど)という流れで終わる映画でしたわ。こんな鬼太郎、ただのキレキャラやん。

スピルバーグが「ジュラシックパーク」で子供の心にトラウマ級の恐怖を与えたのとは似てるようで全然違うと思うんすよ。
本能的な恐怖心(人は本能的に恐竜を怖いと感じる)にトラウマ級の体験をぶつけてくるのはいいと思うけど、「人間は加害者だ」なんてこと、誰かに言われなきゃ考えもしないっしょ。こんなん素直で無邪気な子供時代に見てたら、私だったら原罪を突きつけられたみたいな暗い気分になりますわ。救いを求めて変な新興宗教の門を叩いて人生を台無しにしてたかもしれないですわ。

てなわけで。
本作は、わたし的には見る価値なしでした。ていうか正直言いますと見る価値マイナスやでこれ。いろんな面であかんちゃうん?
他の人には別の判断があるとは思うけど。
控えめに見積もって粛清が妥当かと👍

やっぱ暴力で敵を倒す結末にする場合、暴力を用いることに必然性がないとダメだと私は思うんですよね。アメリカ映画も昔の邦画もアニメも漫画も、そのへん気を遣ってる気がするんです。ついでによけいなこと言っちゃいますけど現実世界でも、どこの国だって暴力使う時には自国の正当性をアピールするじゃないですか?根拠を捏造してでも正当性を主張するくらいここは重要なわけなんで。

映画が好きなだけの素人の私でさえ、そんなふうに思うのに。プロの作った作品がなんでこんな流れになるのか理解に苦しみましたわ。というふうに私は粛清するにあたって私の正当性を主張してみました。
せびたん

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