LalaーMukuーMerry

明りを灯す人のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

明りを灯す人(2010年製作の映画)
3.8
中央アジア、キルギスの作品は「あの娘と自転車に乗って」(1998)に次いで、これで2作目。あっちは実に素朴で素敵な作品だったけど、こっちはキルギスの小さな村を舞台にした社会派ドラマ。私の全く知らなかった腐敗した大統領アカエフをひきずりおろしたチューリップ革命(2005)の頃の話(チューリップ革命という言葉も初めて知った)。

昔ながらのキルギスの村にも時代の波が押し寄せる。貧しさから抜け出すために、若いリーダーは新しいものに飛びつこうとするが、古いリーダー(村長)は土地を手放すことに抵抗を示す。

主人公は、明かり屋さん(電気工)の男。電気代さえ払えない村の貧しい人のために、不法に電気をつなぐ細工をしてやるという、優しい心の持ち主だ。村の政治にあまり関心はなく、新旧リーダーとも適当に付き合うだけ、関心はもっぱら家族や友人、村の人たちのこと。そして彼のひそかな夢は風の強い谷に風力発電をつくり、村人みんなに電気を供給すること…。

ある日、大切な客(中国人)を接待するために若いリーダーが催した宴に同席することになった彼は、村の娘を使った接待に憤りを感じ、宴を台無しにしてしまう。そのことで彼の身に災難がふりかかる…

日本ではお目にかかれない、キルギスの雄大な丘陵地帯の景色。キルギスの人々は日本人と顔かたちがそっくりです。