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日本海大海戦 海ゆかばのmitakosamaのレビュー・感想・評価

日本海大海戦 海ゆかば(1983年製作の映画)
3.4
80年代東映の戦争映画として、旅順攻略戦を描いた二百三高地に続く物語と言えるね。
旅順を奪取し日本が海戦での優位性を獲得。日本海軍が三笠に乗り、ロシアのバルチック艦隊と戦うという物話。
だが東宝でも日本海海戦を映画化しているので、差別化を狙いアプローチを変えてきた。

なんと、軍楽隊員を主人公にするという変化球!主人公に楽団のラッパ吹き沖田浩之。同僚に宅麻伸。沖田の陸での恋人?に三原じゅん子。

まず楽団なので、そもそも軍艦の上では立場が弱い。海兵にイビられ虐められる存在だ。
そして中盤までの1時間は沖田と三原じゅん子とのメロドラマが続く。
三原じゅん子の役は元恋人だったがフラれた腹いせに娼婦に墜ちた女だ。沖田は楽団とはいえ戦争に行くので女を捨てた立場。だが女は前の男に未練たっぷり。再会すると感情が高ぶって大荒れ大喧嘩。そしてヤっちゃう。この遣り取りが2回ある。
この無駄なメロドラマは如何ともしがたいが、三原じゅん子のダメンズヤンキー魂が乗り移ったかのようなキャラクターは見ものだ。

1時間たってやっと船に乗る。基本楽団は理不尽にイビられッぱなしだ。
そんな中、楽団の美少年を巡り砲撃手で金貸しの佐藤浩市が躍起になり、機関士のガッツ石松と揉めたりする。
楽団なので戦闘配置中は一般兵に交じり働くのだが、無理言って演奏の機会を得る。

残り20分でやっと海戦だ。随分待たされたが戦闘描写は凄まじい。艦隊戦とはいえ血しぶき舞う地獄絵図だ。

言うても三笠は現物が残っているだけあって撮影は問題ない。特撮も思った以上に良い。
正直思ったより悪くなかったのが、それでも前半のメロドラマは蛇足だと思うな。それにやっぱり楽団の設定が活かされてない気がする。脚本的には楽団の活躍シーンがあるのだが、演出的に上手く作用してないと思うんだよな。
またラストの艦隊戦で三船・東郷平八郎に見せ場が来る。やっぱり艦内での群雄劇にして個々の兵隊を描く方が映画としての座りは良かったんだと思うけどなー。
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