継

ストリート・オブ・ノー・リターンの継のレビュー・感想・評価

4.0
後戻り出来ない, 一方通行の道、人生。
それを理不尽なまでに捻じ曲げられ, 最早その栄光の道程に戻りたくても戻れないほどに貶められてしまった主人公。
だが, 男は人知れず復讐の機会を狙っていた...

冒頭からいきなり暴動。
白人と黒人が殴り合うもみくちゃに割って入り, 突っ込んでくカメラ🎥からしてパンクでハードコアな精神が息づいてる。

リベンジや恋愛, 警察内部の権力争い…, ストーリー自体は取り立ててどうこう言うものじゃないから, それ重視の鑑賞には不向きな映画。
ただ, つんのめりそうな展開とかバイオレンスの衝動, 瞬時に沸点に達する熱量の高さとか,
本作には “映画はストーリーだけじゃないんだよ” と言わんばかりに作り手が撮ろうとしたモノがフィルムに焼き付けられていて, それらは確かに他じゃあ撮れない, お目にかかれないモノだったりする。

1989年, フランス+ポルトガル製作.
バイオレンスの描き方なんて一周回って今観ると新鮮に映る, サミュエル・フラー監督作品。

主人公(キャラダイン)の回想は本編に取って代わるかのように長くて, その中で更に過去へと遡(さかのぼ)って女·シリアとの顛末まで見せていく。
その尋常じゃない尺の長さは確かにスターだった主人公の失ったものの大きさを表すようでもあるんだけれど, 違うエピソードでは大胆な省略・編集があったりして, セオリーなんてハナから度外視した独特なメリハリ(?)の効いた展開が面白い。
必要と思うトコは執拗に描き, そうじゃないトコはザックリ削って “分かるだろ?” ってカンジで, フラーが撮りたかったモノがビシバシ伝わる。

特典で乱闘シーンの演技指導をする御大は, この時もう70代後半なんだけれどエグいくらいの現役感で現場をグイグイ牽引していて。
トレードマークの長い葉巻を咥えて, “(新聞記者だった)昔から暴動に魅了されてきた...” と真顔で語る(^o^;), インタビューが強烈デシタ。
継