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『ストリート・オブ・ノー・リターン』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

3.8
 港町のある一角では、まるで戦争のような暴動が起きている。ヒスパニック系の白人と黒人たちが互いに武器を持ち、奇声を浴びせながら暴力に訴えかける。警察権力が止めに入ることはなく、ある種無法化したストリートにふらふらとホームレスの男が千鳥足で現れる。彼こそが今作の主役であるキース・キャラダインである。『最前線物語』では弟のロバート・キャラダインがマーク・ハミルと共にリー・マーヴィン扮する軍曹について行ったが、このホームレスの男に救いの手を差し伸べるものはいない。孤独な一匹狼である男は酩酊しながらも、賑やかな方向に行けばアルコールがあるのではと考え、誰も寄り付かず、無法地帯となったストリートに現れたのだ。阿鼻叫喚の地獄絵図の中、逃げ惑う人たちの傍らをフラつく主人公の脳裏には、ある瞬間がフラッシュバックする。かつて彼は街一番の歌手として知られていた。しかし街の若者の人気を一身に集めた栄光の日々は、シリア(ヴァレンティナ・ヴァルガス)と出会った瞬間から一変する。ラテン系のセクシーな気品と優雅さ、それに少しの退廃を併せ持ったファム・ファタールたるこの女に主人公は心を奪われてしまう。だがシリアの情夫、暗黒街のドン・エディ(マルク・ド・ジョンジュ)は、自分の女を奪った街のスターに逆上し、歌手の命とも言える喉を切り裂く。その日から人気歌手だったマイケルは姿を隠し、今やアル中の浮狼者にまで身を落としているのである。

栄光と挫折、栄華と退廃、平和と暴力、生と死など、およそ正反対な要素が全て含まれる堂々たるアクション映画である。男は運命の女に恋をしたことで、歌手としての未来を絶たれる。かつて自らのM.V.に出演していた黒い馬に乗った裸の女。その女が服を着て舞台に立つだけで、彼女の美しさに見惚れてしまうのは男の悲しい性なのだろうか?出会った時は裸のエキストラに過ぎなかった女が服を着て、舞台の幕間に出ている姿に恋をし、服を脱がして抱き合う。このファム・ファタールを巡る男のある種の倒錯した感情が何とも言えず素晴らしい。ベッドを離れた女に主人公はついていき、一緒にシャワーを浴びる。この主人公のキャラクターのヨーロッパ的な伊達男の設定に、かつてのフラー作品の男性像との変化を思いながら何とも言えない感慨に耽る。女に骨抜きにされた男は、ただ夜の街を彷徨することしか出来なくなっている。千鳥足でストリートを闊歩する男の前に、自分と同じような男が突っ伏して倒れている。その傍らには瓶に入った酒の割れ残った底の部分があり、彼は寝ている男に許可をもらい、割れた小瓶の破片を物ともせず、無理矢理飲み干してしまう。そこで初めて男は横たわる男の安否に気づくのである。黒人署長ボレル(ビル・デューク)の強権的なやり口とそれに従うように見えて反乱する主人公の対立構造はさながら『ランボー』のようである。ボレルは今夜起きた暴動の首謀者を見つけ出さなければ、初めての黒人署長の地位と名誉を失うことになる。お上は治安悪化の原因はお前が取れと圧力をかけるのである。人種差別をもろともせず、常に理性的な行動を取って来た男が初めて見せた焦りのようなものが、その後の展開を予感させる。ここでもかつてのフラー作品同様に、人種も階級も違うキース・キャラダインとビル・デュークには友情が静かな芽生えるのである。

中盤の放水シーンがフラーの暴力を決定づけているのは言うまでもない。今作においてキース・キャラダイン扮する主人公は決して自分から引き金を引いたりしない。荒廃する現代、大量殺戮への道は開かれているものの、最初は放水で威嚇し逃げるだけで、続く黒人ギャングに囲まれた場面でもどういうわけか彼は床に捨ててあった手榴弾を拾い上げ、彼らにピンを抜いて見せ、爆発するぞと脅すだけである。黒人ボスの命令により結果的に手榴弾は暴発するものの、それはあくまで主人公の殺人ではなく、襲ってきた人間が勝手に自爆したに過ぎないと言わんばかりである。その後ボスの車に乗り込み敵のアジトを見つけることになるが、そこで『ホワイト・ドッグ』並みの人種差別主義者の悪知恵を聞くことになる。これまで孤独だった主人公が黒人署長ボレルに密告する場面と、その直後のギャング一掃作戦はややご都合主義的ではあるものの、ボレルはまるで『最前線物語』の軍曹のように、キース・キャラダインに行けと先陣切って乗り込むことを命じるのである。敵のアジトの堅牢な警備体制を掻い潜り侵入するキース・キャラダインの一連のアクションも予定調和の域を出ないが、今作において最終的な決断や殺しを担うのはキース・キャラダインではなく、一貫して黒人署長ボレルなのである。主人公には悪の組織に囚われた姫を救出するミッションもなく、結果的にボレルが恩赦で牢獄から出したシリアが彼を救い出すことになるのだが、路地裏の男を掬い上げるファム・ファタールのある種倒錯した描写こそが、アメリカを追われフランスに居を構えながら、一貫してアウトローだったサミュエル・フラーらしいハッピー・エンドの余韻を残す。

余談だが今作は『デンジャーヒート/地獄の最前線』より後に撮影されながら、日本での劇場公開は今作の方が先だったという曰く付きの作品である。それゆえあまり話題にのぼることはないが今作がフラーの遺作となり、1997年に85年に渡る生涯を閉じることになる。10代の頃から新聞記者として働き、30代で『最前線物語』で描かれた歩兵として第二次世界大戦に歩兵として従軍し、30代後半で監督デビューした遅咲きの作家だったフラーは、フォードやホークス、ヒッチコックと言った映画史の巨人たちと交流を深めた最後の大監督として有名だった。同世代のカサヴェテス、レイ、後輩たるゴダール、トリュフォー、ファスビンダー、ヴェンダース、ボクダノヴィッチ、シャブロル、カウリスマキなどの歓待を受け、映画人としての交流を深めた。彼はアメリカでは一貫して暴力の作家、戦争映画の巨匠として評価されながら、実は暴力を嫌い、あらゆる差別を嫌い、国家の束縛を嫌った永遠のアウトローだったはずである。今作を撮った時、既に80歳近い老齢でありながら、その瑞々しい表現を何の先入観もなしに観ると、初期衝動の爆発した20代の撮った作品にしか見えない。その奇跡のような瑞々しい初期衝動に溢れたショット群に、あらためて驚きを禁じ得ない。
完全にハマりつつサミュエル・フラー。

スラム街で人種差別で暴動が起こる中、声を失った主人公が巻き込まる形で過去の復讐を果たす物語。。

傑作か言われると…ちょっとどうかと思うけど、やっぱり分かりやすくて面白い。

黒人を襲う犬を描いた『ホワイト・ドッグ』もそうだったが、これも妙に安っぽくもあるけど、どこか説得力もある不思議な作風が特徴である。。

何でレンタルDVD出ないんだろ。でも絶対、TSUTAYAの発掘良品で出そうな予感。。
継

継の感想・評価

4.0
後戻り出来ない, 一方通行の道、人生。
それを理不尽なまでに捻じ曲げられ, 最早その栄光の道程に戻りたくても戻れないほどに貶められてしまった主人公。
だが, 男は人知れず復讐の機会を狙っていた...

冒頭からいきなり暴動。
白人と黒人が殴り合うもみくちゃに割って入り, 突っ込んでくカメラ🎥からしてパンクでハードコアな精神が息づいてる。

リベンジや恋愛, 警察内部の権力争い…, ストーリー自体は取り立ててどうこう言うものじゃないから, それ重視の鑑賞には不向きな映画。
ただ, つんのめりそうな展開とかバイオレンスの衝動, 瞬時に沸点に達する熱量の高さとか,
本作には “映画はストーリーだけじゃないんだよ” と言わんばかりに作り手が撮ろうとしたモノがフィルムに焼き付けられていて, それらは確かに他じゃあ撮れない, お目にかかれないモノだったりする。

1989年, フランス+ポルトガル製作.
バイオレンスの描き方なんて一周回って今観ると新鮮に映る, サミュエル・フラー監督作品。

主人公(キャラダイン)の回想は本編に取って代わるかのように長くて, その中で更に過去へと遡(さかのぼ)って女·シリアとの顛末まで見せていく。
その尋常じゃない尺の長さは確かにスターだった主人公の失ったものの大きさを表すようでもあるんだけれど, 違うエピソードでは大胆な省略・編集があったりして, セオリーなんてハナから度外視した独特なメリハリ(?)の効いた展開が面白い。
必要と思うトコは執拗に描き, そうじゃないトコはザックリ削って “分かるだろ?” ってカンジで, フラーが撮りたかったモノがビシバシ伝わる。

特典で乱闘シーンの演技指導をする御大は, この時もう70代後半なんだけれどエグいくらいの現役感で現場をグイグイ牽引していて。
トレードマークの長い葉巻を咥えて, “(新聞記者だった)昔から暴動に魅了されてきた...” と真顔で語る(^o^;), インタビューが強烈デシタ。

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