けーはち

遥かなる山の呼び声のけーはちのレビュー・感想・評価

遥かなる山の呼び声(1980年製作の映画)
3.4
倍賞千恵子主演「民子三部作」の最終作。北海道で零細酪農家を営む寡婦の元に謎の流れ者・高倉健が登場。疑似家族のような安らぎの時を過ごすが、実は彼には後ろ暗い訳アリ──「家族」の北海道移住から繋がって見える本作だが、主人公らの開拓原野における酪農家としての生活は、山田洋次監督の原体験である満州開拓と同じく結実せず頓挫してしまう。だがその後に「幸せの黄色いハンカチ」にも繋がるような、一縷の救いのある結末。家族または家族になろうとする者たちのヒューマンドラマに光明を見出そうとした監督の希望なんだろう。ダサいチャラ男の武田鉄矢、寡婦に横恋慕してグダグダ絡んでくるハナ肇、ヨッパライの獣医師の畑正憲(まだテレビ番組を持つ前のムツゴロウさん)など、ちょい役もいい味で印象的。