いわゆる「民子3部作」の最終作。やはりストーリーのつながりはなし。井川比佐志も笠智衆も登場せず。子役で吉岡秀隆が出演してますが、実は「北の国から」「男はつらいよ」よりも前だったのですね。
本作は「シェーン」のオマージュであるらしく、流れ者の男が貧しい母子を助けるという話型は確かに「シェーン」。ただ「シェーン」と違うのは、男の暗い過去がはっきりと示されるところ。高倉健はこういう「わけありの寡黙な男」が本当によく似合います。
映画の白眉は、ラスト近くでハナ肇が猿芝居をするシーン。あのシーンはよかった。そして、そのあと高倉健は刑務所に入るわけですが、倍賞千恵子が彼を待ち続けるという展開は、もうそのまま「幸せの黄色いハンカチ」に続いていきそうなので、これは山田洋次の遊び心なんでしょう。
そういや武田鉄矢も出ていましたが、彼の出てくるパートは一服の清涼剤のようで、よい気持ちになるシーンでした。