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重力ピエロのtoshiのレビュー・感想・評価

重力ピエロ(2009年製作の映画)
5.0
中学の夏休みの読書感想文でこの小説を題材にして、それを読んだ先生が小説をその後読んでくれたらしくて「すごくよかった、ありがとう」と言ってくれたのを覚えている。

母親のいない兄弟と壁の落書きと連続放火事件が、なんらかの伏線ですべてつながっていく話。遺伝子研究者のさえないお兄ちゃんと、フリーターで思想家のイケメンでモテモテだけど女になんか興味がない弟の組み合わせがとてもいい。

小説の内容はほぼ忘れていて、その記憶と、ぼんやり炎のイメージと落書きのイメージ、読んだ後の複雑な感情は覚えていた。「そういえば映画見てないな」と思って見てみた。

音楽と色味と季節の流れ、あとでてくる人物が少なくて静かで、偉人や遺伝子の話が多く盛り込まれてて個人的にはすごく好きだった。

子供の頃になんらかの形で世界に矛盾が見えると、目に見えているものななんて本質じゃないことに気づくんだと思う。ちゃんと考えてゴミだなと思ったものはどうにかして抹消したくなる。だからこの映画の子達もそのままでいいんだと思ったし、強い正義を感じたし共感する。

強姦シーンはどの映画も直視できないし殺意湧いちゃうし観なければよかったと思っちゃう。でもこの映画は終わった後すごく好きだった。中学生の自分は読書感想文でいったいなんて書いたんだろう。
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