鳥さんの瞼

髪結いの亭主の鳥さんの瞼のレビュー・感想・評価

髪結いの亭主(1990年製作の映画)
4.8
美しい愛の夕暮。
純真なるエロス。


一貫してロマンチック。

愛し合う老人と美しい妻。
内容は気持ち悪い。確実に。


でも、描かれ方が極めて甘美。

お陰か、臭みを感じづらかった。
心から愛し合っているように見えた。


惹かれるのはただ罪なきエロスで、執着で、
権威欲や支配欲みたいな余計なものが無い。

幻想的な画面が合っている。

微かにソフトフォーカスのような。
恋情と肉欲のかける靄。


また、
二人にギスギスした描写がない。

結婚や人生の苦難の殆どは、店に来る客に仮託される。

二人は最後まで甘いまま。
「もし君がやせたら自殺してやる」


好みはわかれそう。

人によっては「なんだこれ」となる、多分。
というか好きだけれど私も「なんだこれ」を味わった。

特にラスト。
詰まらない、と思う人も居るかも。

個人的には甘いままで嬉しい。


非常に性急でロマンチックな愛でした。
鳥さんの瞼

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