ガブXスカイウォーカー

首領(ドン)になった男のガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

首領(ドン)になった男(1991年製作の映画)
3.6
91年公開。バブル経済下で、ヤクザのパシリから大手不動産グループの社長になりあがっていく男の怒涛の人生を描く。シリアスに描くこともできただろうに、降旗康男監督では珍しいコメディ作品である(大島ミチルの音楽もまたコミカル)。主人公は映画初プロデュースも務める松方弘樹がのびのびとはしゃぎ気味に演じているのでファンならば必見だ。脇を中尾彬、津川雅彦、梅宮辰夫、渡瀬恒彦、山城新伍ら松方の盟友たちが固めているのも楽しい。
そして、その痛快かつワイルドなサクセスストーリーはけっこう面白い。ラストで、主人公は頭脳、暴力、運でついに不動産グループのトップとして巨万の富と名声を勝ち得るも、邪魔者を消したことにより、信頼していた弁護士や女たちに見限られ、破滅していく。そこに男の美学やシニカルな笑いを感ずることだろう。
だが本作はいまやほとんどのレンタル店に置かれていないし、ネットのレビューすら数少ない、忘れ去られた作品と言ってもいい。まさに泡のように消えたバブル時代の一本と言えよう。