ソーラン節をご存じか

キング・オブ・コメディのソーラン節をご存じかのレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
4.5
ウエストランドの「お笑いは、今まで何も良いことがなかったやつの復讐劇だ」を思い出す。自身もユダヤ系であるレニー・ブルースの台頭をはじめとするコメディの歴史を考え併せると、あながち突飛な話でもない気がしています。
『キング・オブ・コメディ』終盤の約5分間のネタは、「ジェリーは椅子に縛ってきた」という大爆笑必至のくだりも含め、ほぼすべてが事実だろう。ここに、良いことがなかった人生をコメディとして笑い飛ばす、すなわち復讐に走るしか道がなかったルパート・パプキンという男の悲劇性を感じ、「ドン底で終わるより、一夜の王に」という言葉がさらに重く響く。昨年のM-1グランプリを優勝し、「初めて主役になれた」と語るウエストランドの井口氏とはここでも重なる。

関係なければ超面白いけれど、感情を寄せると悲哀を見ずにはいられない。
どこかの喜劇王の「人生は(以下略)」というクリシェがあるが、本作はこの言葉を何より体現した傑作だ。