かぴばら

キング・オブ・コメディのかぴばらのレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
2.6
ジェリーがただただ気の毒でならない…
芸能人は全員聖人君子だと思われ、そのイメージに少しでも反する行動をとるととたんに嫌われ憎まれる。かといって、聖人君子を装っているとパプキンらのような気の違ったファンに囲まれる。

パプキンのように妄想と現実の区別がついてないタイプがいちばんこわい。本人には全く悪意がないまま暴走するからだ。初対面だったはずのジェリーとパプキンだが、彼の中ではディナーを共にし番組の代役を頼まれ別荘へ招待されたことになっている。このディナーのシーンはおそろしくて鳥肌がたった。
身に迫る恐怖を感じるほどに、狂人2人の演技はすごかった。

マーシャもパプキンも似ているけれど、ジェリーへの自己中心的な愛情に目が眩んでいる彼女より、自身の成功への道しか見えていないパプキンの方が周りが見えていなくておそろしい。

刑務所から出たパプキンは見事に芸能界へデビューしていく。だが、これもパプキンの妄想か現実か。ジェリーの番組で大いに客にウケた辺りからもう妄想なのではないかと勘ぐってしまう。

他の人の感想で見かけた言葉だけれど、第三者にとってはバッドエンド、「本人にとってはハッピーエンド」。これがジョーカーとこの作品の共通点かもしれない。
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