アマゾンに騙された……誰だよこの映画を「コメディ」にジャンル分けした奴。
NYが舞台でロバート・デ・ニーロ主演って時点で不穏な空気に気付けない俺も俺だが、アマゾンの作品紹介に「『タクシー・ドライバー』『レイジング・ブル』の名コンビ、マーティン・スコセッシ監督×ロバート・デ・ニーロがタッグを組んだドラマティック・コメディ!」って書いてあったから、もしかしてハートウォーミングな話?って思った俺がバカでした。
コメディアンを目指すパブキン(デ・ニーロ)が現実と妄想の狭間を行き来する中で、有名司会者ジェリー(ジェリー・ルイス)に粘着する話。
興行的には大失敗した作品だが、この作品でのデ・ニーロの演技はキレッキレ。妄想癖があり、空気の全く読めないパブキンが完全に憑依している。あまりにキャラに入り込みすぎて、この後「グッドフェローズ」まで、7年間監督のスコセッシとは一緒に仕事が出来なかったという。
特にジェリーの別荘に招待されたと勝手に思い込んで侵入するシーンは、観てるこっちまでハラハラするくらい緊張感がある。IMDBによるとこのシーン、アドリブらしいんだが、いやいや、デ・ニーロ、凄すぎるでしょ……。
劇中、パブキンが「自分はクリフトン出身だ」と言うシーンがあるが、「マン・オン・ザ・ムーン」のモデルであるコメディアン、アンディ・カウフマンへのオマージュなんじゃないかな(トニー・クリフトンは、アンディ・カウフマンの演じた架空のスターの名前)。
最後まで観て映画「ジョーカー」の元ネタ映画だというのも納得。「ジョーカー」は、最後、アドルフ・ヒトラーのように大衆を先導することで解放されるのに反して、この作品のデニーロ演じるルパート・パプキンは狂気のまま。ラストシーンが、あえてボカされているのも面白い。
妄想癖があって空気が読めないキャラってことで、ぜひデ・ニーロにはWHOのテドロス事務局長を演じて欲しい、と強く思わせる作品でした。
以下、小ネタ。IMDB観てたらパンクバンド「THE CLASH」のメンバーがモブで出ていると書いてあって、探してみたら、31:58の左に小さくジョー・ストラマーとミック・ジョーンズが、32:04の右に、コスモ・ヴァイナル(THE CLASHのマネージャー)とミック・ジョーンズが映ってます。
この感想を書くために、「キング・オブ・コメディ」で検索したら、日本で同名のお笑い芸人ユニットがいたことを知った。
しかも、そのうちの一人は制服ドロで有罪判決を受けている。
もしかしてこのお笑い芸人も、事件を起こすことで有名になろうとしたんだろうか……ってのは無いか、やっぱり。
というわけで口直しに、次は本当の「キング・オブ・コメディ」な作品を観ることにしました。
(以下、次回に続く)