菩薩

愛の集会の菩薩のレビュー・感想・評価

愛の集会(1964年製作の映画)
4.0
何人に対しても不定形である筈の愛やら性やらについての問答集なのだから「意見には個人差があります」になるのは必然なのだけど敢えてそこを楽しんでカメラを向けている様な、もし導き出される解があるとしたら愛とはなんとも自由に見せかけて不自由なのだろうと言う事だろうし、結局皆それを許容して生きている。キリスト教的観念に基づき一方ではタブー視されていながらも、その抑圧をバネにするかの様に語り出したら止まらない雄弁な者達。世代や地域、北と南や階層により見せる様々なグラデーション、自らを「進歩的」と信じて疑わない北部の方がホモフォビックが色濃く出ていたりするが、南部は逆にその辺りは牧歌的に許容している割には猛烈にミソジニーが発揮されていたりするのは非常に興味深い。南北共に主に男性に見られる「臆病さ」や「嫉妬深さ」、まるで女性に自由を与える事で自分達の権利が侵害されるとでも思っているかの様な…ってこれは現代もそうだし、同じ様にカメラを向ければ同じ様に答えそうな層が日本では中枢を担っているのであって…。およそ60年前に収集された語りとは思えぬ新鮮さを現代でも保っている、逆に言えばまるで進歩していない日本の現状を再認識するいい機会(?)でもある。にしてもあの強烈パパマウントをかましてくるパパには笑った。
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