イチロヲ

猫とカナリヤのイチロヲのレビュー・感想・評価

猫とカナリヤ(1939年製作の映画)
3.5
遺言書の内容を聞き入れるべく豪邸に集結した6人の親族が、相続権利をめぐる抗争を引き起こしてしまう。ジョン・ウィラードの舞台劇を映像化している、サスペンス・コメディ。

若くて綺麗なヒロインが相続人として指名されるのだが、相続人が不適合者となった場合を考慮して、別紙に第2の相続人が記されているものだから、親族が色めきだってしまう。「第2の相続人は自分に違いない」という思い込みが、シニカルに繰り広げられる。

タイトルの「猫とカナリヤ」は、猫に睨まれたカナリヤが絶望感に見舞われる様子を転じたもの。化け猫のような姿をした精神疾患者の殺人犯が屋敷内に逃げ込み、殺人行為を展開するという怪奇ホラーのテイストが加味されている。

ヒロインを庇う主人公を演じるのは、喜劇役者のボブ・ホープ。前半部は「志村、うしろ!」的な喜劇が展開されるが、後半からはスタンダードな怪奇ホラーに転調する。何よりも、現在のビデオゲームにも通じる「探索型」のシナリオ構成が、シンプルに面白い。
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