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ポーリーヌ
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『ポーリーヌ』に投稿された感想・評価

記録。
花とチョコレートの都ベルギー。
老齢姉妹が織りなす、きっと観る人の境遇で全然色が変わる映画。

4姉妹の次女ポーリーヌは知的障がいを持つ66歳。長女マルタと二人暮らしをしていたが、ある日マルタは急逝。近くで服飾店を営む三女ポーレットと、離れた都会で暮らすセシールのどちらかがポーリーヌの面倒を見ることがマルタの遺産配分の条件。残された姉妹の今後や如何に…

え、これのどこが「スマイル・サプリメント・ムービー」?むっちゃ深刻で難しい問題じゃないです?

まだそこまででも無いけど、親もいい歳になりつつあり、介護やら何やらもゆくゆくは視野に入れなくてはならない身としては、ワンスマイルも発生しない、考えさせられる作品として映りました。

確かに、まるで少女のようなポーリーヌは微笑ましいし、ラストは優しい成分で出来てるけど、ポーリーヌの世話を押し付けあう妹2人や、末娘の同棲相手の気持ちが存分にわかってしまう自分への嫌悪感が勝っちゃってね…
emily

emilyの感想・評価

3.8
知的障害をもつ66歳のポーリーヌは姉のマルタと二人で暮らしている。お庭に水をやり、妹のポレットのかわいい洋服屋さんが大好きでいつもお店に行って邪魔ばかりしている。そんなある日マルタが亡くなってしまい、妹のポレットかセシーヌのどちらかがポーリーヌの面倒をみなくてはいけなくなった。手厚い対応をすればマルタの残した遺産が彼女たちの手にわたるのだが・・

おとぎ話みたいなポーリーヌの頭の中をそのまま映像化したような、メルヘンなお家、一面お花だらけの庭園、ピンクや赤を基調とし、包み紙はバラの乙女チックなポレットの洋服店。ただここで繰り広げられるのは、年老いた女性たちの物語である。ポーリーヌはもちろんだが、マルタもポレットも独り身である。ポーリーヌは年老いた大きな子供のようで、いたずらばっかりして困らせるけど、ピュアな心は時に癒しにもなる。ほのぼのしたタッチで全編を包み込みながら、マルタの死後は厄介者でありつつ、やはり姉妹なので無下にできないポレットとセシーヌの絶妙な描写の中に、マルタの不在をしっかり感じさせる描写を絡ませ、しっかりと人間ドラマを構築していく。

音楽にのってジョーロで水をやるポーリーヌ、バラの包み紙をアルバムに張ってお花の夢物語に浸ってるポーリーヌ、とにかくお花畑の描写と音楽挿入のセンスが抜群で、見てるだけで幸せな気分にしてくれる。そこにポーリーヌのピュアな心に触れて、じんわりと温かい気持ちを残してくれるのだ。

一緒にいるときは厄介で、一人になりたいと思っていたポレット。お店を閉め、念願の海辺の小さなアパートに住むことになるが、このアパートの窓に映る海が非常に美しい。うれしいはずの一人暮らしはさみしく感じてしまう。それはポーリーヌと過ごした日々が彼女の日々を上塗りしてしまっているから。思い出すのが、いつもポーリーヌが言ってた言葉「石が入ってる」冷たい飲み物をお店で飲んだ時に、いつも言ってた言葉、石=氷のことである。一緒にいる存在が疎ましく思うようになれば、こうやって距離を置いてみればわかる。その人が自分にとって必要な存在かどうか。海辺で立たずむ老人二人、老人なのに親子のように見える。それはポレットの優しいまなざしがまるで子供を見るようだからだろう。またそこに配置されたブルーと白のボーダーのベンチも可愛い。

シンプルだが幸せと愛と花にあふれた、ほんのり幸せなオーラで包んでくれる作品。これが子供ならばただかわいいだけあろうが、ここに老人、独居老人などの切なくシビアな現実と交えることでただのメルヘンなだけの物語になってないのがいい。
ポーリーヌ
原題 Pauline & Paulette
製作年 2001年
製作国 ベルギー フランス オランダ
78分

ポーリーヌは花を愛し妹のポレットを愛する知的障害を持つ老女。
4人姉妹の次女で、姉の長女マルタと暮らしている。
しかしポーリーヌの心はいつも妹の三女ポレットの元に。
ポレットは地元のオペラの主演であり、街のオシャレ番長の店主でありポーリーヌの憧れの女性であり続ける。
しかし三女ポレットは姉の次女ポーリーヌの存在をうざいと感じている。
どれだけ自分を慕ってくれていても「所詮は障害者」なのだ。

そんな折、ポーリーヌを介護していた長女マルタが急死してしまう。

三女ポレットが長女マルタの葬儀の手配や後始末に終われる時に末妹の四女セシールがやってくる。
セシールは長女の遺産の使い道は考えてはいても、姉であるポーリーヌの世話は三女ポレットがしてくれるものだと思い込んでいる。
自分には自分の生活があり、フランス人の恋人との「今」が一番大事なのだ。
「今」が大事なのは三女ポレットも同じなのだが、その自分たちの生活の中に「ポーリーヌ」という「姉」の居場所は想定されていない。
姉の障害者施設への入所を望む妹たちだが、自分が「言い出しっぺ」にはなりたくない。遺産の配分もそれにより随分変わってしまうからだ。

三女も四女も姉であるポーリーヌを持て余してしまうのだが・・・

四姉妹版「レインマン」な話。

トムクルーズとダスティンホフマンの「レインマン」では
弟であるチャーリーが障害のある兄のレイモンド(ダスティンホフマン)を
色々な出来事の顛末として兄を引き取ろうとするが
結局、兄のレイモンドの「居場所」は福祉施設である、という結末になっている。
弟の人生は弟のものであり、兄のそれもまた同じである、というアメリカの「一つの答え」であるのだろう。

しかしこの作品では
冒頭でいきなり死んでしまう長女マルタといい、その後ポーリーヌの行動に振り回される三女・四女といい
自分の人生を自分で切り開き生活していく所に、ポーリーヌという「姉の存在」は
まるで厄介者のように登場してくる。

福祉施設に収容されても、恋い焦がれる妹ポレットのために
妹の好きな花をメッセージカードに遇らうポーリーヌ。
その姉の作ったカードを隱遁先で知り合った知人に披露したくても
そんなことを誰も望んでいないことを知って愕然とするポレット。

自分が世界の中心でなくなった時に
やっと「世界の中心じゃない人間の存在」に気づける。

個人の人生の「花」である時間の短さと
その「花ではないその人そのもの」までも
ずっと、まるっと
いいところも悪いところも関係なく愛し続けてくれる存在の尊さ。

それはかつて
ハンデを持ったポーリーヌが
母や姉や家族からずっと受け続けた「愛情」が育んだ
純粋な「存在そのものが愛おしい」という気持ちを
そのままで持ち続けているからこその行動なのだろう。

人は世間の波に揉まれながら生きる内に
そんな「そこにいるだけで愛おしい」という感情さえ擦り減らしてしまう。

人間は特技や才能による「値踏み」などされなくとも
そこに存在する「権利」を持っている、というのが
現代の基本的人権の思想だ。

「レインマン」のレイモンドのような「特殊能力」など無くても
ポーリーヌという存在は、存在する「権利」を持っている。

そうでなければ、あの相模原の施設を襲ったあの犯人は
ポーリーヌの妹たち・・・すなわち「健常者の望み」を実行したに過ぎなくなってしまう。
世間の望みとは、あの殺人鬼と同じ土俵にいるのかどうか?

知的障害はあれど「愛しい妹」をただひたすら慕い続けるポーリーヌ と
健常者ではあるが「そうでない者」を受け入れられない人たち

そのどちらが、果たして「正しい」と言えるのだろう?

また
それとは裏腹に
自分の人生は
たとえ兄弟であったとしても
侵して良いという権利は無い、というのもある。

ポレットやセシール、そして亡くなった長女マルタの人生も
姉妹であるポーリーヌによって掻き回されることが正しいとは言えない。
それは、相模原の施設に収容された利用者の親にも言える事でもあるのだ。
だからと言って、ポーリーヌのような人達が持つ権利を奪えるのか?というのは
それは明確にNOでもある。


まだ、この世の中の人間は
その「権利」と「感情」の狭間で揺れているし
きっと永遠に答えは出ないのかも知れない。

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