ダイアー教授

リービング・ラスベガスのダイアー教授のレビュー・感想・評価

リービング・ラスベガス(1995年製作の映画)
4.1
題:命の水で、命を削る
製作:1995年、アメリカ
監督・脚本:マイク・フィギス
原題: Leaving Las Vegas
原作:ジョン・オブライエンの同名小説
出演:ニコラス・ケイジ、エリザベス・シュー 、ジュリアン・サンズ

ジョン・オブライエンの同名小説が原作。
自伝的な話で、アルコール依存症で妻子に逃げられた孤独の中で話を書いたらしい。
オブライエンは映画化決定の2週間後に34才で自ら命を絶っている。

私も酒を愛し、何かと言い訳しながら酒を呑む。
ベンには遠く及ばないが、酒での失態も数多く、後悔も数え切れない。
何か、他人事とは思えない映画だった。

この映画“依存”をテーマに3つにまとめてレビューします。

1.ギャンブル
主人公のベンは無職になって、ラスベガスに移住する。
ラスベガスはカジノの町、ギャンブルの町だ。
日本のパチンカスなんて比じゃないギャンブル依存症たちが集まる。
カジノでは酒が無料だそうだ。
酒で判断力を麻痺させて金を賭けさせるわけだ。

2.異性
ヒロインのエリザベス・シューはポン引きの男に依存している。
金銭も若さも搾取されている。

3. デカダン
主人公のベンは、言わずもがなアル中だ。
彼はお酒を呑んでいるときは陽気な“オモシロい人”だ。
フードコートでビールを持ってきたウエイトレスへのリアクションは笑ってしまった。

彼は一升瓶片手に妻子を殴る暴力オヤジではない。
「警察24時」で取り上げられる迷惑酔っ払いオヤジでもない。

呑んでいるときはいい人だ。生き生きとしている。

しかし顔は生気がない。食べ物にも手をつけない。
ウィスキーはラテン語で“Aqua vita/命の水”という。
彼は“死”とか“破滅”に取り憑かれた男で、
“デカダン酔いしれ”暮らしたかったのかもしれない。