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リービング・ラスベガスのotomisanのレビュー・感想・評価

リービング・ラスベガス(1995年製作の映画)
4.4
 死人に鞭打つのも何だが、このアル中というのが気に食わん。死んどらんと治さんかい。治ったら治ったでスコア-1かもな。
 酔っ払いニコラスの信号無視にも動じないエリザベス。いつでも死ねる?酒に討たれ死ぬ覚悟のニコラスといつでも死ねるエリザベスだから、こんな事になるんだろうという腹上死。何をたわけた事をと思う一方で、ここまで墜ちてもニコラス、破格の情に与かってと賞賛すべきか。一体エリザベス、こいつのどこが良かった?
 どこがいいんだと振り返るとところどころ、エリザベスがやけに改まって話してる場面があった。誰との談話なのか?というより、何で談話なんか取ってるんだ。まさか、酔っ払いニコラス昇天物語 "Leaving Las Vegas" 製作プロセス取材とかであるまいな。こっそりカウンセラーにでも会ってたのかな?こっそり過ぎ、ややこし過ぎるぞ。
 どこがいいのか分からぬまま4回目の途中で切り上げる時、エリザベスがタクシーを止める傍らで修道女が配り物をしてるのに目がいった。ラス・ヴェガスらしい、こんな街頭のカットで何度もこんな景色があったのだ。救われ難いかに見えるニコラスの野垂れ死に天使エリザベスが寄り添う。ニコラスの調子のいい解釈が唯一の救いの綱だというなら神も安く見られたもんだ。でもこんな混迷のひと月ほどでニコラスの何者かを少しも分からず、きれいな景色を背景のロマンスに現を抜かした我々から、映画一本のクレジットに僅かに名を遺す男の悲劇に免じてやって欲しい気もちょっとは湧く最期ではあった。
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