クストリッツァ監督の長編2作目にしてパルムドール受賞作。
時代は1950年頃、ユーゴスラヴィアがナチスドイツの占領から解放され、チトー政権が支配を拡大し、国内が揺れ動いている時代。時代背景を多少知ってから観るのがおすすめです。
父親が国家批判をしたと逮捕され、母親が6歳の息子マリクに父の不在について「パパは出張中よ」と嘘をつく。逮捕したのは義兄で、身内でさえも裏切ることに不安定な社会状況なのが伺える。
物語はマリクの視点で語られ、彼の成長譚でもあります。割礼したり、夢遊病になったり、恋をしたり、尊敬していた父のダメなところを見たりしてマリクは少し大人になる。最後のマリクの微笑みが不適だし、逞しい。父から息子へ、DNAは連鎖していくのだと感じるラストだった。クストリッツァ作品を観るといつも家族って深いなと思わされます。
この後の作品に比べ、重く地味な話ではあるけど、ユーモアもあり、祝祭もあり、クストリッツァらしさはしっかり感じられました。ここから10年後に傑作『アンダーグラウンド』へと昇華させるんだなぁ😌