りょうすけ

パパは、出張中!のりょうすけのレビュー・感想・評価

パパは、出張中!(1985年製作の映画)
3.0
「パパは、出張中!」

「アンダーグラウンド」「黒猫・白猫」のエミール・クストリッツァ監督の初期作であり、第38回カンヌ国際映画祭にてパルム・ドールを受賞している。
クストリッツァ監督作品は上記2作を観て、彼の作風は「ユーモアの中に、風刺を交えたハイテンション社会派コメディ」という印象だったが、初期の作品はそういうわけでも無かった。
確かに社会風刺が含まれており、自国の政権に対しての批判をしていることは上記の2作においても、本作においても同様であるが、「ハイテンション」の要素は本作にはない。
それによって良かった点としては、ユーモラスでありながらも真面目でシリアスな作品という印象を残せたことだろう。その一方で「アンダーグランド」のようなインパクトには欠ける。
内容的には、そこまで面白いとは思わなかったが、印象深いシーンは多くある。その中でも妻に「買い出し」と偽って子供を連れて女を買いに行くシーンは、ただ単に妻想いではない夫の身勝手という子供にとっても辛いシーンにも関わらず、遊びがあって非常に面白かった。
ユーゴ紛争でオリジナルフィルムを消失してしまったようなので、DVDにも関わらずかなり傷が激しい映像だったが、逆に味を出していて良かったと思う。
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