初期作なだけあってまだ「アンダーグラウンド」ほどぶっ飛んだコメディ描写はないものの、ユーモラスな一家と子どもの目線から語られる作風で、激動の世相を反映させたクストリッツァらしさはすでに感じられる。出張中ということにされているが、パパが突然いなくなった状況に何が起きているか理解ができない子どもの戸惑いがリアル。大人のほんの出来心が思いがけないハプニングを引き起こし、そのせいで生活がコロコロと変化していくが、そんな中でも成長していく子の姿を描いていて、対比が効いている。決して明るい話ではなく、まだ作風も確立されていないが、軽妙さのおかげでそれなりに観れる。